1.西の湖美術館づくりとは
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西の湖は子孫からの預かりもの
「西の湖」は消えていった琵琶湖の内湖にあって奇跡的に残された宝物です。そして、「美術館づくり」は、西の湖とその周辺のすばらしい景観を美術作品と見立てて、住民が中心となって保全していこうとするものです。
手入れで維持される風景
ヨシ原に代表される自然の風景は人の手が入ることによって維持されており、その時代の暮らしを映し出す鏡です。ですから人の手による「美術館づくり」というアプローチは、持続可能な社会実現の早道ではないでしょうか。
多くの住民の参加
周辺の自治会やNPOで構成する「西の湖保全自治連絡協議会」は、多くの住民の参加を求め、取り組み始めたいと考えています。
2.美術館づくりの目標
(1)その視座
古きを訪ね今に生かすことから始める
里山や里川など先祖が作り出してきた傑作(持続可能な社会)を壊さずにうまく保全しながら、生き物である人間のための安全性や利便性を作り出す科学や技術こそが求められています。
経済一辺倒から脱却し多様な価値観から開発
内湖は、本来、水域と調和した暮らしを形成し、持続可能な美しい風景であるのに、経済優先から消滅を余儀なくされてきました。今日の世界的な自然遺産保護や日本における景観法による保護の動きを意識すべきです。
(2)そのイメージとマザーレイク計画
美術館づくりは、マザーレイク21計画の目標の実現にも寄与
次のような計画がマザーレイク21計画(2000年に滋賀県が発表した琵琶湖総合保全整備計画)と重なっています。
- ◇水質の保全:昭和30年代の水質
- ◇水源かん養:自然の水循環を生かす淡海の森と暮らし
- ◇自然的環境:湖の環境を守る豊かな自然生態系のなかで、多様な生物の営みによって四季折々に美しい固有の景観を見せる琵琶湖
(マザーレイク21計画抜粋)
※西の湖では、こうした取組のスピードアップを図ります。
(3)その目標(主なもの)
◇景観目標
- ・内湖開拓前の自然景観に近づけること
- ・西の湖のヨシ原、西の湖に隣接する里山の自然景観の手入れ
- ・町並みなど歴史的建造物の保全
◇環境目標
- ・マザーレイク21計画の数値目標よりさらに進んだ水質
- ・モロコの琵琶湖からの遡上と産卵
◇治水目標
◇利水対策
- ・景観や環境目標を妨げる利水行為のチェック
- ・漁業権、水利権の洗い直しと必要な措置の検討
3.主な取り組み例
現在、次のような取組が考えられています。
◇景観対策
- *重要文化的景観の選定を受ける景観づくり
- *コミュニティビジネスによる自然景観の手入れ
◇環境対策
- *固有種の魚貝類を対象にした生物多様性の回復実験
- *植物、鳥類、魚類および水生昆虫の調査
- *水路の開削、樋門の開閉の工夫による魚道の確保、水還流の促進
- *なだらかな傾斜を持つ護岸への変更
- *河川や水路上の可動式育成ベッドによる有機野菜の生産
- *湖底汚泥除去後の砂の覆土
- *ヨシ博物館の整備
- *体験学習センターの整備
◇治水対策
◇利水対策
- *ヨシ原内の水路の復元、自然観察道等のインフラ整備
4.取り組みを進めるために
○住民による、美術館づくりの実現を図るためのルールをつくります。
- (1)西の湖の変化や異常の発生を前提とした連絡体制の整備
- (2)西の湖の現状改善を求める場合の意見交換の場の準備
- (3)意見交換をおこなうときの決まり
- (4)決定案の関係住民や関係者への提示
- (5)関係者の同意と早期実現のための工夫と行動
○この構想推進にあたっては、様々な方々の意見を結集します。
- (1)流域住民だけでなく、幅広く自由な意見を求めるとともに、「西の湖美術館学芸員」の育成や西の湖体験ツアーを行ないます。
- (2)構想の推進を子供達とともに行ないます。
- (3)構想の実現を行政とのパートナーシップで行ないます。