西川嘉廣さん
西川嘉右衛門商店会長

 
 
  ヨシ博物館とは? 
第113回

西の湖にひろがるヨシ原の願いを狂言にこめて

2004年8月26日 菱川貞義

 東近江水環境自治協議会が、湖国21世紀事業で誕生させた環境創作狂言「琵琶の湖」と、世界湖沼会議で発表した「琵琶の湖〜その後〜」を合わせた完成版が、7月30日、滋賀県立文化産業交流会館で、社団法人 日本仏教保育協会主催の全国仏教保育滋賀大会のアトラクションとして上演されました。
 

 その上演までの経緯が案内チラシに載っていました。

 その経過は、この滋賀大会の事務局の「るんびに保育園」の小川良紘園長から大蔵流狂言師の木村正雄先生に相談があったころから始まりました。
 滋賀で開催するんだから環境に関する狂言を… ということで上演が実現しました。

 イベント当日、会場で配られたプログラムのなかから、環境創作狂言の解説を紹介しておきます。

琵琶の湖
 21世紀の環境問題を考える一つの手段として、平成13年6月24日に近江八幡市文化会館で開催した「奏でる・語る・鑑る流域フォーラム」のなかで演ずるために創られた新作狂言。
 

 ヨシ原を背景にヨシ笛が奏でられ、「蛇砂川」と「山本川」が流入する西の湖を舞台に外来種のブラックバスとブルーギルの横暴に苦しむ琵琶湖の固有種の小魚たち(鮒・鯉 ・諸子・鰉・琵琶鱒・はえ・たなご・鮎)が、アメリカで「かいつぶり」の子どもがブラックバスのエサに食べられたという事件があったことから、このままでは西の湖でもそうなるに違いないと、鷺・鳶・カラスたちの力を借りて、知恵を出し合って元の国に追い払うというファンタジックなバラエティ狂言。

 
  セブンドロップスからの依頼により、大蔵流狂言師の木村正雄が制作・脚本し、東近江水環境自治協議会が協力・支援したもの。
 

琵琶の湖〜その後〜

 小魚が減ってエサがなくなれば、やがては自分たちも食べられることを恐れたブルーギルが、ブラックバスを裏切って、小魚たちに加勢をし故郷へ帰る途中で、西の湖を追われたブラックバスにハワイの沖合で追いつかれ、

色々とはなしをしているところへ、米国では外来種として嫌われ、同じように追われた緋鯉と出会う。

 そこで、それぞれ自分たちが外来種となった生い立ちや人間に対する想いを語る。

 これもセブンドロップスの依頼により、木村正雄が制作・脚本し、平成13年11月14日の世界湖沼会議の第1分科会で初演された新作狂言 。

 これから今年から来年にかけて、この創作狂言にふれる機会が何度かあると思いますので、ぜひ一度ご覧になられたらいかがでしょうか。
(つづく)