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第12回 |
2003年9月18日 東恵子 |
「てんこもり」その後 |
「農業なんて、ムリ、ムリ」 「しんどい畑仕事したくないよう」 奈良県の田園風景を見て育った私には、こういった農作業への抵抗はありません。ましてや、園芸が好きで履歴書にはたいてい、あつかましくも「趣味・特技 園芸」と書いていました。毎年、桜前線が通過する頃と秋のお彼岸には欠かさず種まきをして、実家の小さい庭をこつこつと耕していたのです。 |
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ボランティアで「園芸療法」 あまりにも育てた花に癒されるので、ほかの人も花で癒されれば良いのに、と思っていた頃、「園芸療法研究会西日本」の存在を知りました。この会はNPO法人で、植物を介してお年よりや身体の不自由な人、また健康な人がより元気になれるノウハウを研究している会で、大阪に事務所を置いています。発足間もないころ新聞で活動を目にして、早速入会(新聞では会の顧問を務める精神科医・野田正彰さんの講演会の様子を紹介していました)。私は、神戸や奈良の特別養護老人ホームを訪ね、お年よりと一緒に寄せ植えをするボランティアなどに参加しました。 しかし、結婚という大きな転機に出合い、園芸療法から遠ざかって行きました。「いつか、この近江八幡で皆が楽しめ憩えるコミュニティーガーデンができたら素敵だな」という夢はありますが、今は「我が家」のことだけで精一杯です。 |
楽して農作業できるなら |
嫁いで1年は、ただお母さんが手伝って欲しいと言った時にお手伝いして、さつまいも掘りや水やり、大根の種まきなどをしていたのです。けれど頼りのお母さんが他界し、畑の世話をしなければいけないことに。畑は、森中たかさんらご近所さんが「先生」です。 |
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1月、たかさんが「ガーランド(園芸店)でも行って野菜の肥料と石灰窒素、消石灰を買ってくるとええ。石灰窒素は、まいておくと収穫した後の大根の葉や古い種が腐って肥料になるんやで。土になるまで日にちがかかるから早めにしといた方がよいなあ」とアドバイスしてくれました。そこで、大きな袋入りを買い、一輪車で畑に運び込みました。 |
たくさん植わった大根は春に種を蒔いたもの。おでん大根、青首大根、日野菜まであります。大根は、初めて沢庵漬けに挑戦するなどして、いっぱいいただきました。大根や雑草を引き抜いた後、地面を少し掘り、石灰窒素をぱらぱら。そこに葉や雑草をすきこむと出来上がり。開墾作業の頃には良い土になっているというものらしいです。私の場合は「すき込む」と言えるできばえでもないのですが、ね。 |
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ヶ・セラセラで乗り切ろう |
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〜と、ここまで書いて、「畑を守ろう」という気持ちに駆り立てられていた初春のある日、さらに大きな転機が訪れました。 実は、妊娠したのです。医者に安静を言い渡され、実家に帰省し静養。こちらに戻ってからも家事にさえ注意が必要でした。おかげさまで9月で8か月を過ぎ、元気に過ごしていますが、とうとう農作業はできずじまい。近所に住むお姉さん夫婦が忙しい合間をぬって畑仕事にがんばっておられます。 |
私はいつになったらできるやら。最近では、「朝市で買う方が手間がかからず、安く手に入るなあ」などと思ってみたりする、信念のない私です。 |