第3回 おおすかしば

2004年7月8日 みわゆうこ

 中学生くらいのときのこと。うちの花壇でとんでもないものを見た。ぜったいにハチドリだ。ハチドリはアフリカ大陸にすむ世界最小の鳥。エメラルドグリーンのかわいい鳥が花の蜜を吸っている姿を図鑑で見て、夢に見るくらいあこがれていた鳥だ。

 きっと私の願いが通じてここにきてくれたんだ。でもこのことは親にも友達にも内緒にしておこう。日本にハチドリがいるなんてわかったらたいへんなことになるわ・・・・・。

 結局、オオスカシバというスズメガ科の虫であるといつしか知った。でもね、ほらほらやっぱり鳥みたいでしょ。ハチとはちょっと違う羽ばたきの音も、光を受けてつやつや輝く透明な羽も、ふっくらとした体も。突然目の前に現れると、やっぱり胸がどきどきする。


(つづく)