プロフィールタイトル

東近江水環境自治協議会

会長:西川 嘉廣
〒521−1351
滋賀道蒲生郡安土町常楽寺828番地
2000年7月8日設立
2007年7月1日現在、正会員 257人と7法人

 


設立趣意書

平成12年4月

私たちは、長命寺湾や、西の湖の周辺や、これらの湾や湖に注ぎ込む川の周辺に住んでいます。そして、いろいろな思いのもとに、そう遠くない昔の長命寺湾や、西の湖を取り戻したいと、これら周辺住民有志により東近江水環境自治協議会(以下水環境自治協議会といいます)を立ち上げることにいたしました。

 

1.いろいろな思いとは。例えば次の様なことです。

多種多様な魚が戻ってきてほしい。
多種多様な植生を、美しいヨシ原を取り戻したい。
溜まったヘドロを取り除き、美しい水底を取り戻したい。
美味しい飲み水を取り戻したい。
もう一度泳いだり遊べる水辺を取り戻したい。
魚が棲みつき、蛍がまた見られる川にしたい。
梅花藻がまた見たい。

そして、琵琶湖を、多種多様な「いのち」満ちあふれる母なる湖にしたい。

 

2.では、なぜそのように思ったのでしょうか。

貝が死に、「もろこ」が来なくなっている。ヨシ原は減り、ヒシが消えた。・・・
水が汚れたらやがて体が汚れ、体がよごれたら「いのち」がいたむことを直観的に感じ、大変なことが起こっているとわかりだしたのです。

今までは、汚い溝には蓋をする。川に流して目に届かぬところに送り込む。後は、行政がそして自然が何とかしてくれる。と思っていました。しかし、そうではなかったと気が付いたのです。自然が変わってきています。
「いのち」の永続と種の多様性を妨げる方向に変わってきています。

これらの変化の殆どは、人間の営みによってもたらされるものです。それが自分達の健康に、いのちの永続に跳ね返ってこようとしています。今、このような変化に気が付いた人々が声を上げないと、えらいことになると思い出したのです。

 

3.ではどのような活動をしようとしているのでしょうか。

(1)この趣意書の冒頭にありますようにこの水環境自治協議会は長命寺湾や、西の湖の周辺や、これらの湾や湖に注ぎ込む川の周辺に住んでいる者が中心になって立ち上げました。したがって、そう遠くない昔の長命寺湾や、西の湖を取り戻したいという思いを強く持っていることも事実です。
しかし、この会には東近江地域に住む人で「水」に関心のある人すべての人に参加いただけないかと考えています。
なぜなら水は上から下へ流れ、やがては琵琶湖にそそぎます。そしてまた雨や水道水・農工業用水などとなって循環します。
森林・田畑・家庭・事業所→溝→川→琵琶湖→森林・田畑・家庭・事業所の循環のなかで、「(きれいな)水」にこだわる人それそれが、それぞれの地域、役割、思い、問題意識など「個」を基礎にしながら「(きれいな)水」を共通のキ−ワ−ドとして、「水系」で繋がった縁ある者として連携してこそ実効があがる。助け合うことにより「個」の活動が孤独ではなくなり元気が出るようにしようという提案なのです。

(2)このような提案を具体化するため、この提案に賛同いただける方々によって、小グループを沢山立ち上げていただきたいのです。グループが出来るまでは個人参加のままで勿論構いません。

先に触れました様に、この会を立ち上げたメンバー(設立準備委員)は、「水をきれいにしたい」、「中高年の人なら記憶している美しい長命寺湾や、西の湖を取り戻したい」、『我々の琵琶湖を、多種多様な「いのち」満ちあふれる母なる湖にしたい』という思いでは共通です。
しかし、身近な問題意識は住んでいる地域の差や、興味の差などで様々です。設立準備委員でさえこのようですから、多数の人に参加していていただくとなるとなおさらです。
更に、水を生活の場としておられる人々にとっては利害関係の差もあります。
そこで、問題意識や興味や利害を共通する人に集まってもらって、小グループを作り、その小グループ活動を中心にしながら、ゆるやかに連携する全体協議会を作りたいのです。
(すでに何らかのグループを作っておられるならリンクしませんかという提案になります。)

(3)活動の中心は小グループです。

(4)小グループの活動は例えば次の通りです。

A.メンバ−を集める。(小グループが独自で集めたメンバーも水環境自治協議会のメンバ−となります。)

B.小グル−プのテ−マについて勉強会をする。

C.小グル−プのテ−マについて問題意識を共有する。

D.問題点を整理し絞り込みを行う。

E.対策案を作る。

F.自分達で出来ることはグループメンバーが周囲を巻き込んで実行する。

G.小グル−プの手に余ることは水環境自治協議会全体を巻き込んでより大きな活動へと展開する。

H.小グループの情報は必要に応じ水環境自治協議会に連絡する。

I.小グループの運営規約は必要に応じグループメンバーが協議決定する。

J.活動に必要な費用は自弁を原則とするが、自弁の方法として水環境自治協議会費の配分金によってまかなうなどの方法を取る。

(5)水環境自治協議会の全体活動は次の通りとします。

A.さしあたっての活動(設立準備委員の活動)

a.メンバ−集め。(特に小グループを立ち上げてもらえそうな人を探します。)
b.勉強会を継続実施する。
イ.水汚染の現状把握。
ロ.行政の対応状況把握。
c.問題点の整理。(問題点の整理は水環境自治協議会全体で行うもの、小グループが持ち込むものの二通りがあります。)
d.小グループ作り。
e.PR活動案の協議と、PR活動の実施
f.会則の作成と会費の決定
 

B.水環境自治協議会が立ち上がってからの活動
さしあたっての活動のa〜eを引き続継ぐほか、次の活動をおこないます。

a. 小グループリーダーの育成
b. 問題点の整理 → テ−マ設定
c. テ−マ設定に伴う活動方針、活動組織、活動人事の決定(テ−マにふさわしいリーダーとメンバ−をテ−マ設定の都度選任する)
d. 水環境自治協議会管理人会の設置(事務局会:将来メ−リングリスト管理人会に移行し、小グループ活動のモニタ−と側面支援を行う)
e. NPO(特定非営利活動促進法)資格取得の検討
 

C.将来の目標

a.小グループを沢山作りたい。
b.水環境自治協議会のメンバーによるインターネットML(メ−リングリスト)を作り、それぞれの小グループが活発に相互の意見交換と助け合いができる様にしたい。
c.インターネットを使った環境ビジネスの立ち上げなど、 財政面の強化も考えたい。
d.NPO(特定非営利活動促進法)資格を取得したい。

以上

 

 

 

活動指針

平成12年7月8日

問1:水環境自治協議会は何をしようとしているのですか?

答 :第1の役割は水質と水環境(水辺や生態系を含みます。以下ここでは「水」と呼ぶこととします)の「観察」です。
「監視」といってもよいかもしれません。
私たちの生活は便利になりました。水道の蛇口をひねれば水が出る。汚水は下水道に流れて行きます。こういったことから大多数の人は自然から遠ざかり、自然の「水」を見ることは殆どなくなりました。

4〜50年前までは、魚や藻を採る日々の営みがありましたし、ほてった体を水浴びで冷やす夏の日々がありましたから人は「水」の変化に敏感でした。
今では、魚釣りや水遊びに水辺を訪れる人はいても、地元の人は殆ど無関心です。注意を払っていない間にも人の営みによって「水」が汚れてきていますし、汚れることによって生態系が変化しています。「水」の変化は我々人間の「いのち」の存続と無関係ではありません。
    
この「水」の観察・監視は行政まかせでは不十分です。第一、目の数が足りません。その上に縦割りや縄張りの目でしか見ていないからです。人には見ていても見えていないということがおこります。つまり、関心がないと見えないのです。
多数の目が、そして「水」の様々な姿に関心を持つ人の目が必要なのです。
「水」に親しみ、様々な角度から「水」を観察することがこの会の最も大切な活動です。

 

問2:第2の役割は何ですか?

答 :問題を見つけることです。
「水」がおかしいと思ったら、話し合いしましょう。何がおこっているのかをはっきりさせる必要があります。そして、問題は何かを正確に把握することです。この場合、問題を起こした犯人を見つけてその責任を追及することよりも、問題は何か、なぜ発生したのかその原因を正確に把握することによって、再びその問題が起こることを防ぎたいという姿勢をより重視します。

 

問3:第3の役割はありますか?

答 :行動を起こすことです。
問題が特定出来たらその解決のために多数の人を巻き込んで行動を起こしましよう。水の汚染、生態系や水辺の景観破壊などはその殆どが人の営みによってもたらされたものです。だから、解決可能です。解決することができる当事者を動かし、共に協力して早い問題解決をはかることが大切です。

 

問4:協議会の行動方針は何ですか?

答 :多数の人に参加してほしい。そして、影響力のある会にしたい。そのためには次の様なことを大切にしたいのです。

(1)様々な関心・問題意識・価値観を一本にまとめてはならない、意見の異なる人を排除してはならないのです。
多様性こそ「いのち」が採っている戦略ですし、創造性の源です。
問題意識や意見が違ったとしても「水といのちを大切にしたい」という共通の思いがあるはずです。その思いのもとに、ゆるやかな連帯を作ることが当協議会の基本戦略です。

(2)この会の役割は、我々の未来を「奪われし未来」にしてはならないという意味で大変重要であり長続きさせなければなりません。しかし、他方で我々が求めてきた快適さ、便利さに見直しを求めるものであるだけに受ける抵抗も多く、報われることの少ない地道な仕事です。お金もありませんし自前で賄って貰はねばならぬことも多いと思います。
それだけに、会のメンバ−の「水」に関する様々な思いやこだわり、自然と触れ合うことの喜びや遊び心を大切にしたい。活発な意見交換と笑いが絶えない会にしたいという願いを持っています。

(3)行政単位にこだわらない。水の流れに従っていきたい。そうかといって差し当たりの範囲の目安が必要なら、東は鈴鹿、西は琵琶湖、南は日野川、北は愛知川に囲まれた範囲です。

(4)行動スタイルも「水」がモデルです。傾斜地では急流となり、平坦地ではゆるやかに、障害物が在れば迂回し、深く静に浸透するといったところでしょうか。

 

問5: この会は小グル−プが活動の中心であるということですが、小グル−プとは何ですか? また、どのような活動が必要なのでしょうか?

答 :

(1)小グル−プとは、こうでなければならないとは考えていないのですが、次の様な要件を備えていてほしいとおもっています。

A 二人以上の集まりであること

B 何らかの形で水に関係するテ−マ、こだわりなど集まる目的を持っていること

C 目的に賛同する人なら誰でも参加出来る外に開かれた集まりであること

D 他のグループと連携し、互いに助け合おうとする気持ちのある集まりであること

E そして、目的達成のため行動する意志を持っていること

どのような活動が必要なのかは 東近江水環境自治協議会の設立趣意書、規約、およびこの指針を参考に、その小グループで決めていただいたらよいのです。

 

問6:行政との関係は?

答 :行政が環境の問題を重視している限り、協力と補完の関係です。 標準的には次の様なプロセスが考えられます。

(1)住民から行政へ
まず水に親しむ(仕事で、遊びで、気になって) →  水を観察する → 変化を話し合う → 対策を語り合い問題点を明確にする → 先ずグループで解決する → グループで解決できない時は → 全体会議に問題を提起する → 会全体でも解決できない時は → 行政に問題提起する
(小グル-プから全体会議に問題が提起された場合、理事会で小グル-プから話を聞 く。理事会で討議する。行政に問題提起し共同して問題解決に当たる。)

(2)行政から住民へ
A 全体会議又は小グループが水に関する行政情報の公開を求める。 → 全体会議又は関係小グループで討議し意見調整の上行政に対する意見具申をおこなう。

B 当初から行政の計画作りに参画し、行政と住民が協力して現場情報を豊富に組み込んだ案作りをおこなう。

(3)住民や団体相互の意見調整
「水」をめぐっては地域住民相互、団体相互または住民と団体の間に意見や利害の対立が生じることがありましょう。この場合、状況によれば水環境自治協議会が相互の意見調整を行う必要が生ずるかもしれません。従来の地域縦割りの町内会組織では対応できぬ事項について、横に繋ぐ役割を果たしたり補完する役割が必要になるからです。

 

問7:企業との関係は?

答 :企業が法律を守り、情報を公開し、地域社会のよい隣人である限り共に問題解決にあたる仲間です。むしろその企業が小グル−プを作つていただいて我々の協議会に加わっていただけないかと思っています。

企業がその事業領域で経済活動を成功させておられることは、その事業領域について日本一、少なくとも日本有数の、場合によっては世界に通用する知識やノウハウを持っておられることを意味します。つまりその分野の専門集団なのです。
そのような知識や技能の力を生かしてエネルギ−や水の節約に全力をあげておられますし、ゼロ・エミッシヨン(ゴミ・ゼロ)に取り組んでおられると考えています、そのノウハウを差し支えない範囲で教えていただけぬかと考えているからです。

 

問8:農業についてどのように考えていますか?

答 :先ず、農業に限らず個人で事業をしておられる方々も同様ですが事業者である前に同じ町内に住む住民であり、隣人です。人は一人では生きられぬのですから隣人に迷惑をかけない(自分にされたら嫌なことを人にしない)という基本ル−ルは環境問題の前に存在し、これが環境問題を考える上での出発点です。

農業にかんしては水に関係深い業種であるだけに水環境自治協議会としても強い関心を持っています。その関心は共に問題解決に当たろうという立場からするものであり問題を告発する立場からではありません。

農業は今まで競争力確保の観点から如何に省力化しコストを下げるかの技術に主な関心が注がれてきました。しかし、今後は農業は環境の改善に如何に貢献し得るかの技術開発にギアチェンジすべき時です。その、キ−ワ−ドが水田です。 環境問題の改善を引っ張る農業の在り方を考える小グループを立ち上げていただけないかと考えているのです。

以上

 

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