西川嘉廣さん
西川嘉右衛門商店会長

 
 
  ヨシ博物館とは? 
第136回

まず、西の湖に来なさい

2005年7月28日 菱川貞義

 7月18日(月・祝)、ヨシ博物館の前に広がる、ヨシ原にやってきました。暑い日差しの中、4m以上はありそうなヨシが元気に風にゆらいでいました。祝日ということもあってか、水郷巡りの小舟がたくさん通って行きます。

 実は、本日、ここ近江八幡で、湖国まるごとエコ・ミュージアムづくり事業の「まるエコ発見!車座交流会」が午後から催され、さまざまな立場の方からエコ・ミュージアムづくりに向けた提言があったり、すでに活動されている方や関心のある方が集まり意見の交流が行なわれたのです。

 そして、なんと、奥田修三さんもそこで提言をされたのでした。

 車座交流会は、まず主催者代表の國松知事が「湖国まるごとエコ・ミュージアムづくり」に向けた熱い思いを語られ、写真家の今森光彦さんからは「命めぐる琵琶湖」と題して、写真スライドを交えた話題提供がありました。

 ついで、車座交流会がはじまりました。その場にも知事や今森さんも参加され、俄然、意見発表者の熱もあがり、さらに暑い日となりました。

 数名の意見発表のあと、いよいよ奥田さんの出番となりました。

(奥田さん)
 西の湖でずっと漁師をやってきて、

大中の湖、小中の湖が干拓されたりして、昔のような水の流れがなくなって、そのまま飲めた水が、きたない、きたない、といわれるようになって、その西の湖を子どもたちに見せて、50年前のことをしゃべったら、子どもはきれいな西の湖を知らないのに「きれいな西の湖に戻したい」といいますよ。

 わたしら大人たちも小さいことから、できることをやっていきたいと思います。

 会場のだれもが奥田さんの話に聞き入っています。やっぱり奥田さんは最高の語りべです。

(奥田さん)
 今森さんはきれいな写真を撮っておられますが、わたしはこんな西の湖を撮っているんです。ロビーにも展示してもらっています。みなさん、いろいろいってますが、まず、西の湖に来なさい。見てください。いつでも舟に乗せてあげます。

 今森さんの写真に意見をするなんて。これもさすが奥田さんといったところでしょうか。間もなく交流会が終了し、環境教育をすすめている方からも、「奥田さんの舟に乗ればそれがそのまま、いちばんの環境教育になる!」と感動されていました。

 そしてなんと大ハプニングが発生しました。

 ぼくたちがまったく知らないうちに、忽然と奥田さんと國松知事が会場から消えたのです。奥田さんが持ってこられた写真も、オオヨシキリの巣も、乗ってこられたバイクも会場に残したまま。

 どうやら知事が奥田さんに「いまから西の湖を見せてほしい」といって、奥田さんの舟のところへ二人で行ったようです。

 すぐに会場付近が暗くなり、雷雨になりました。やがて二人が会場に戻ってきました。

 やはりこの雨では見ることはできなかったか、と思ったら、

(奥田さん)
 西の湖はだいじょうぶ。ずうーっと案内してきました。

 西の湖がきっと知事に見てほしかったのでしょうか。

 余談ですが、國松知事は最近、ヨシ博物館にもこっそり行ったらしいのです。そしてヨシ原に囲まれた博物館に感動され、最近、まわりの人たちに「あの博物館はすばらしい」とふれまわっているとか。

(つづく)