西川嘉廣さん
西川嘉右衛門商店会長

 
 
  ヨシ博物館とは? 
第145回

ヨシと環境フォーラム2005

2005年12月22日 菱川貞義

 

 東近江水環境自治協議会が毎年末に行なってきた「ヨシと環境フォーラム」は今年で4回目を数えるそうです。ヨシと環境の活動は年々大きくふくらんでいます。今年も安土町文芸セミナリヨを会場に12月3日(土)に開催されました。

 受付を済ませると、ヨシを使ったアート作品が展示販売されていました。西の湖が作品のなかに見事に閉じこめられています。作家の思いが伝わる、とても手の込んだ商品です。ヨシ茶などとはまたちがったヨシの魅力を引きだしています。しかも、後に実用品としても使える工夫もされております。みなさんも安土に寄られたときには一つ求められてはいかがでしょうか。

 そして、パイプオルガン演奏でフォーラムが幕開けました。

 西の湖保全自治連絡協議会会長の安藤さんによる開会の挨拶の後、安土町長の津村さんから歓迎の挨拶がありました。

 次のプログラムは、新しい取り組みとして誕生した音楽紙芝居です。語りは松島さん、ヨシ笛演奏は、木村さん、太田さん、辻村さんです。

 音楽紙芝居はおもしろいです。このスタイルはひょっとするとブームになるかもしれません。

 当日のプログラムには、「日本人にずっと愛され、歌われてきた童話や唱歌、日本の歌を演奏する傍ら私たちは童話や民話、詩の世界にヨシ笛の音を乗せたいと思っております。」と書かれています。

 ヨシ笛の音色が耳に心地よく残るなか、映像による活動報告、さらに、「これからの日本と環境コミュニティ・ビジネス」と題して、三菱総研の柴さんによる基調講演がありました。

 なんといっても、この日のハイライトは、西の湖美術館構想について語った、丹波さんです。丹波さんの西の湖美術館づくりに向けられた思いは、会場のみなさんに十分に染み入りました。

  会場で配布された「西の湖美術館づくり(概要版)」の冊子の「はじめに」にはこう書かれています。
 
 西の湖は、消えて行った琵琶湖の内湖の中にあって奇跡的に残された宝物です。
 

 かってこの湖(うみ)が美しい水に満ち溢れ、多くの生き物を育てていたことを知る者
にとって、この湖が高度成長時のように特定の利害関係者の目先の利益のみで、そのありようが決められることは許されないと考えています。
 
 この宝物は公のものであり、子孫からの預かりものです。

 最後は来場者との意見交換です。

 「ヨシとアシは何がちがうのか」というような質問には、ヨシ博士が懇切丁寧に答えておられました。というか、言葉ではひじょうに簡単なことに思えるのですが、西の湖のヨシとアシのちがいは意外にも複雑怪奇に入り組んでいました。植物として、また歴史のなかでの変化だけでなく、西の湖流域独特の事情もあり、とてもおもしろいです。

 ついでにいえば、ヨシ博物館にはそんなヨシにまつわるおもしろい情報がいっぱいつまっています。まずヨシ博物館を見ないでは、とてもヨシがどうのこうのとはいえなさそうです。
(つづく)