西川嘉廣さん
西川嘉右衛門商店会長

 
 
  ヨシ博物館とは? 
第155回

ヨシと田んぼはなかヨシ?

2006年5月18日 菱川貞義

 「ヨシの活用」では、青いヨシを使ったヨシ茶やヨシアイスなどが最近注目されてきましたが、昨年ごろから「ヨシと野菜や米」の関係もいろいろ模索されています。

 重野さんたちはアスパラガスの栽培にヨシを堆肥や草おさえに使う実験をはじめています。

 そして今年からは、西の湖のまわりの、ヨシ地に囲まれた田んぼや畑も元気にする取り組みがはじまろうとしています。田んぼや畑にヨシがどう活用されるのか楽しみです。

 あの奥田さんも西の湖のまわりに田んぼをもっておられ、3月25日に案内していただきました。ほんとうにヨシと田んぼが隣り合わせです。しかし、なんとも贅沢な風景が広がる田畑です。

 奥田さんによると、実は数十年前まではヨシを草おさえや虫除けに使う知恵があったそうです。しかし、続けて奥田さんはこういいます。

「ヨシの成長はおそろしいですよ。田んぼを1年ほっとくだけでヨシ地になってしまうんです。それでね。いっそのことヨシ地にもどそうと思って、一度、田んぼをやめたことがあるんですけど、さっぱりよいヨシが生えなんだんです。よいヨシは1年や2年では生えてきません。何年もヨシを刈って、ヨシ地をちくちく焼いて、それで商売になるヨシになるんです。それでわたし、すぐに田んぼにもどしたんです」

 ヨシと田んぼは敵味方の関係もあるんですね。なんか複雑です。奥田さんは今度は水路を指差して、
「いまはこの水路はつながっていませんけど、近江八幡のように、安土側にも、むかしあった水路を復活させて、ここから近江八幡の水郷へ行くばかりやのうて、安土の水郷巡りもやりたいと思っています」

「あ、奥田さん。ヨシ地焼きのあとにヨシの芽を発見しました」

(つづく)