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第84回 |
2005年12月15日 菱川貞義
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山から湖まで
環境考える 野洲 守る会など2団体が交流 昨秋の滋賀県中主、野洲両町の合併により、琵琶湖沿いの水辺のまちと山間部のまちとを市内に併せ持つようになった野洲市で、琵琶湖の環境保護に取り組むグループと、森林保全活動をしているグループが交流を始めた。互いに抱える問題を知り、環境への意識を高め、連携して行動を−との狙いだ。琵琶湖の現状を視察したほか、山での植林などを計画中で、メンバーは「山から湖まで環境を一体的に考えていきたい」と話している。 交流を始めたのは、旧中主町域で活動している「びわこの水と地域の環境を守る会」と、旧野洲町の「里山会」。守る会が里山会に呼び掛け、今年8月、両会の会員約20人が、市内の菖蒲漁港から漁船に乗って琵琶湖を巡り、水質悪化の現状を視察した。帰港後は、それぞれが持ち寄った琵琶湖の魚やイノシシの肉でバーベキューを楽しんだ。 琵琶湖で約40年間、漁師を続ける守る会代表の松沢松治さん(59)は「琵琶湖の環境は今、最悪の状態」と話す。8月の交流会でも、沖島の周りを巡り、水質が悪化している様子などを紹介した。 一方、山も荒廃が進んでいるとして、市内の生産森林組合のメンバーでつくる里山会は、炭焼き小屋をつくるなど、間伐材の有効利用や魅力ある山づくりに取り組む。代表の辻新一郎さん(62)は「山も手入れができず、治水や保水能力が落ちている」と懸念。「来年は、守る会の人たちも山に入って植林などを体験してもらいたい」と話す。 松沢さんは「これまで山の人たちと、湖の人が交流する機会はなかった。今後は、中間に位置する農地の人たちも一緒になり、環境に対する意識を高め、行動できるようになれば」と期待する。 <京都新聞:2005年12月7日> 湖も山も、本当に最悪の状態です。しかし、どのような状況であれ、明るい未来に向かって生きていく力をつけ、一歩ずつ進んでいきたいです。そのための交流もこのようにどんどん深まっていけばいいですね。 嵐山、ミニ水力発電始動 渡月橋常夜灯に電力供給 京都市の嵯峨嵐山地域の名勝、渡月橋に設置する常夜灯の電力をまかなう水力発電施設が8日から、同橋上流の桂川で稼働した。一級河川に小水力発電設備を設置するのは国内初の事例で、事業化を進めた嵐山保勝会が、河川管理や景観保全などの難問を1年以上かけて関係機関と調整し、実現にこぎつけた。 「年間700万人の観光客に、嵯峨嵐山らしい環境にやさしい取り組みをアピールできる」としている。 現在の渡月橋は、照明設備を義務づける法令施行前の1934年に架けられ、常設灯がない。保勝会は昨年6月、夜間の出歩きにくさと防犯上の問題を解消するため常夜灯を設置し、さらに、嵐山の特徴である桂川の自然を生かしたエネルギーで発電設備をつくることを総会で決めた。 桂川の一の井堰(いぜき)に発電施設を据え付けるため、管理者の国土交通省と折衝を重ね、水の流れを変えないような構造にした。また、一帯が市の風致地区である点などを考慮し、照明器具を和のイメージにしたり、橋の外に光が漏れにくい設計にするなど工夫した。 取り付ける発電機は、小水力発電の先進地の東欧製で、落差1・74メートル、最大出力5・5キロワット。橋の常設灯の必要電力は2キロワット程度のため、余りを関西電力に売電し、収益は維持管理費に充てる。 花こう岩の円柱形照明は高さ70センチ、直径20センチで両側の歩道に等間隔で計60基設置した。総事業費は4000万円で保勝会員、市内の企業の寄付のほか、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の補助でまかなう。運営は「合資会社嵐山保勝会水力発電所」が行う。 8日夕、渡月橋北東の特設会場で完成記念の点灯式を催す。保勝会の中西勤会長(71)は「いろいろな方の協力で実現できた。地球温暖化防止の議定書を策定した京都からクリーンなエネルギーを全国に発信できる」と意義を話している。 <京都新聞:2005年12月8日> このような機械が日本製でないのはとっても不思議です。日本はまだまだ地球温暖化防止に対して、その気になっていないということなのでしょうか。 議定書否定は社会的費用の増大 COP11 著名学者ら対策訴え 【モントリオール(カナダ)8日】京都議定書を否定すれば将来の社会的費用が増大する−。ノーベル賞受賞者を含む米国の著名な経済学者25人が早期の温暖化対策の必要性を訴える声明を8日までに、気候変動枠組み条約第11回締約国会議(COP11)の会場で表明した。総量排出削減など、京都議定書の枠組みの導入を提言している。 25人の米国人経済学者でつくる「懸念する科学者連合」。コロンビア大のスティグリッツ教授ら3人のノーベル経済学賞受賞者も名を連ねている。 声明は「気候構造の変化が温室効果ガス排出により加速されていることに科学的疑いはない。(二酸化炭素などの大量排出国である)米国はこの変化に深くかかわっている」と指摘。「早期に対策を打ち出さなければ、将来発生する破壊的影響への対策費用は増大する」としている。 具体的には、総量排出規制を基本に、二酸化炭素の排出量取引や省エネ、エコカー(環境に配慮した車)への優遇など、企業や国民を温暖化対策に導く政策の実施を提言。コロンビア大ビジネススクールのヒール教授は「米国の二酸化炭素削減費用はブッシュ大統領が言うほど大きくはない。積極的な排出削減を通じて環境技術の育成や、排出量市場の育成も期待できる」と話している。 <京都新聞:2005年12月9日> 環境問題に取り組むことが何より明るい未来を築く最高の方法であることを、ほんとうに理解することが、いま求められているのでしょう。 |