第86回

2005年12月29日 菱川貞義
釉薬廃泥利用し「エコ土」開発
信楽陶器工業協同組

 滋賀県甲賀市信楽町の信楽陶器工業協同組合(田村静夫理事長)が、陶器作りの過程で上薬を塗る際に出る釉(ゆう)薬廃泥を陶土に混ぜ、「エコ土」として再利用する事業に取り組んでいる。エコ土で作った植木鉢や食器の試作品は、水漏れしにくく、欠けにくいなどの特長のあることが分かった。「厄介者」の釉薬廃泥の資源化は国内初といい、「商品化にこぎつけ、産地を活性化させたい」と期待を膨らませている。
 
 釉薬には、焼くと発色する二酸化マンガンやコバルトが含まれている。各窯元では、筆やスプレーで釉薬を塗るが、筆や床を洗った水は、沈殿槽にためた後、薬剤で釉薬成分を沈殿させて廃泥とし、処理業者に出している。信楽町で出る廃泥は年間約120トンに上るという。
 
 廃泥を陶土に混ぜる方法は、一昨年、県信楽窯業技術試験場(同市信楽町)が開発した。廃泥を乾燥させ、陶土の20%ほどの分量を混ぜた後、水を加えて新たな陶土にする方法で、実用化が待たれていた。
 
 信楽町の窯元でつくる同組合は今年5月、資源リサイクル委員会を設立し、組合加盟の窯元に依頼して、植木鉢と食器づくりを始めた。これまでの結果、製品ごとに色合いが微妙に変わるものの、硬くて、欠けにくく、水漏れもしにくいことが分かったという。
 
 陶土の間に廃泥成分が入り込み、すき間を埋めているためらしく、さらに、色の安定を目指して実験を続けている。実用化のめどがつけば、廃泥を一手に回収、加工し、「エコ土」として販売する計画で、同組合の橋本浩総務課長は「厄介者の廃泥が、一転して資源になる。環境に優しいエコ商品として売り出し、産地の活性化につなげたい」と話している。
<京都新聞:2005年12月20日>

 何かをつくるとき、どうしても余分なものまで生産されてしまいます。しかし、それは厄介者ではなく、まちがいなく地球の資源です。出てきたものを大切にみつめましょう。もし、ほんとうに厄介なものが出てきたなら、それは生産してはならないもののはずです。

早崎内湖干拓地再生へ意見交換
滋賀県の検討委が初会合

 滋賀県がびわ、湖北両町の早崎内湖干拓地で目指している内湖再生の具体的なあり方を探る検討委員会の初会合が21日、大津市の県庁で開かれ、再生目標などについて意見を交わした。
 
 同委員会は国や県の関係機関、自然環境の専門家、地元住民ら36人で構成し、再生の規模や技術などについて協議し、来年12月までに再生計画案を作成する。
 
 この日の会合では、委員長に九州大大学院の島谷幸宏教授、副委員長に県琵琶湖・環境科学研究センターの西野麻知子総括研究員を選任したのに続き、生物の生息状況や県のこれまでの取り組みなどが報告された。
 
 委員からは「植物や魚類の貴重種の生息を指標に考えるべき」「現在の地域の生活に合わせた再生が望ましい」などといった意見が出た。
<京都新聞:2005年12月22日>

 内湖は地球が必要に応じて生みだしてきたものです。それは必然であって、むだな内湖は何ひとつありません。たとえ、人間にはどうでもよい湖に見えても。

CO2削減目標、1年早く達成
彦根市 04年度環境報告

 滋賀県彦根市は2004年度の省資源など市の取り組みや自然環境の現状報告をまとめた「彦根市の環境」を発行、市役所などで無料配布している。
 
 市は01年度に策定した環境基本計画で省資源の25部門の個別目標を定めた。
 
 「彦根市の環境」によると、04年度は、省資源の国際規格ISO14001の認証範囲を市役所から小中学校や市立病院など全71施設に拡大した。
 
 また、市施設での二酸化炭素(CO2)排出量の削減率は1999年度に比べ88・9%となり、目標(05年度94・0%)を1年早く達成した。ごみの発生量やリサイクル率、紙の使用量なども目標数値を達成したが、電気使用量は目標の3・4%削減に及ばす3・04%にとどまった。
 
 ごみ収集では、燃やせるごみのうちビニール類や不燃物などの混入率は10年前(24・1%)より大幅に減り17・5%、ペットボトルの回収量も5年間で3倍近くの216トンとなった。
 
 A4判、92ページ。市生活環境課窓口や各支所で無料配布している。
<京都新聞:2005年12月24日>

 アルミ缶やペットボトルがどんどん増えていますね。しかし、生産現場では厄介者をおそろしいスピードで生みだしています。陶器やガラスの容器をもっと見直してほしいです。アルミ缶やペットボトルは食料や飲料を収めるのにはほんとうは適していないのです。ただ、現代社会やお粗末な経済にとって都合がいいだけです