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第92回 |
2006年2月16日 菱川貞義
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水草繁茂 湖底は低酸素 夏の琵琶湖・南湖 県博物館が調査 琵琶湖の南湖で水草が繁茂する夏場に、湖底の一部が低酸素状態に陥ることが、滋賀県立琵琶湖博物館(草津市)などの調査で、6日までに分かった。生態系に支障があるとされる数値より低い酸素濃度を示した場所が多数確認されており、湖底の貝類などへの影響が懸念される。 同博物館と近畿大が2002年9月、南湖全域の84地点で、湖底から10センチの水中に溶けた酸素濃度を測った。その結果、大津市南部や草津市沖を中心にした36地点で、海の内湾で健全な漁場の目安とされる酸素濃度(1リットル当たり4・3ミリグラム)より低い値だった。 同博物館によると、南湖の水深は平均約4メートルと浅く、風で光が当たる表面の層と湖底の冷たい層が混ざりやすく、これまで低酸素状態にはなりにくかった。 ところが、1994年の渇水を機に、水草が繁茂するようになり、水が停滞して混ざりにくくなった。さらに、葉が茂る表面では光合成により酸素がつくられるが、光の届かない湖底では光合成ができず、微生物などによって酸素は消費されるばかりで、濃度が低下したとみられる。 大津市打出浜沖の測定では、水深2メートルの酸素濃度は1リットル当たり10・4ミリグラムと高かったが、湖底に近い水深3・25メートルでは1リットル当たり0・8ミリグラムと異常に低かった。 南湖は夏になると、約8割が水草に覆われる。中でも長さ約1−2メートルに成長するオオカナダモが多い所は、酸素濃度が低い傾向があるという。 同博物館の芳賀裕樹主任学芸員は「今でも夏には酸素濃度が低下している恐れが強い」とし、「シジミなど移動能力の低い2枚貝に特に影響を与える可能性がある。今後の水草の増え方に注意することが必要だ」と指摘している。 <京都新聞:2006年2月7日> ちょっと数字がちがっているかもしれませんが、空気中の酸素はたった21%ぐらいしかなく、そして5%ほど少なくなっただけで、火が燃えなくなると聞いたことがあります。酸素ひとつをとってもそんな微妙なバランスで自然界は成り立っています。なのに、琵琶湖のなかではぐちゃぐちゃにひどいことになっているのに、人間は涼しい顔です。 自然との共存の在り方を提言 大津で琵琶湖の姿を考える 持続可能な社会や琵琶湖の姿を考える「琵琶湖サスティナブル・ミーティング」が7日、大津市の滋賀県厚生会館であった。専門家が琵琶湖の歴史を踏まえ、自然との共存の在り方を提言した。 県が、地球レベルの視野に立って環境問題の解決に向けての道筋を探るために、初めて企画した。研究者や環境団体、行政の関係者たち約50人が参加した。 京都大地球熱学研究施設(大分県)の竹村恵二教授は、地質学の観点から「琵琶湖の堆積(たいせき)物の分析は、湖をどう残すかを考える上で重要。地震など自然の動きも視野に入れ、将来を考える必要がある」と指摘した。 また、国際日本文化研究センター(京都市西京区)の安田喜憲教授は「琵琶湖の水を美しく利用してきた滋賀のノウハウを生かし、世界にアニミズム化(自然崇拝)運動を広めてほしい」と訴えた。 <京都新聞:2006年2月7日> 自然の繊細なバランスを保とうと、自然は動いています。人間が「あーなったからこーしよう」というようなコントロールをしようとすればするほど、自然は「そんなことではないよ」と教えてくれます。自然に寄り添ってくらしを工夫すればアイデアはつきないでしょう。 より豊かな学校給食をめざす 京都集会で食を通じた教育考える 教員や栄養士、父母らが学校給食の在り方を考える「より豊かな学校給食をめざす京都集会」が11日、京都市中京区のハートピア京都で開かれ、地産地消の推進や安全な食材の確保などについて意見を交わした。 京都自治労連や京都教職員組合、アレルギー患者の子の親らでつくる連絡会が毎年開いている。25回目の今年は、約100人が参加した。 全体会では、連絡会の藤本雅英代表が「民間委託が進むなど、学校給食は危機的な状況にある。栄養職員の配置や施設のいっそう充実が必要だ」とあいさつ。日本動物愛護協会の中川志郎理事長が「動物の食からみる現在の食生活へのヒント」と題して講演し、「栄養の整った人工飼料だけでは動物はうまく育たない。多様な食生活が必要だ」と話した。 午後のシンポジウムでは、府内の小学校の教員や調理員らが、地域の食材を生かした給食の献立をつくる取り組みを報告し、食文化の伝承など給食を通じた教育の重要性を訴えた。 <京都新聞:2006年2月11日> そもそも「豊かさ」って何なのだろう。 |