第96回

2006年3月16日 菱川貞義
湖国の風景、魅力や景観保存考える
大津・ピアザ淡海でシンポ

 次代に引き継ぐ湖国の風景づくりを考えるシンポジウムが7日、滋賀県大津市におの浜1丁目のピアザ淡海で開かれた。市民ら約210人が、滋賀の風景の魅力や、景観保存に向けた国内外の活動報告について耳を傾けた。
 
 「湖国風景づくり宣言」を策定する滋賀県が、風景を守り育てる機運を高めようと企画した。
 
 基調講演では、山崎一眞滋賀大教授が「琵琶湖の対岸が見渡せる広がりの風景」などを滋賀の特徴に挙げ、世界の景観保存の実例を紹介しながら「風景を守り育てることに価値を持たせることが重要」と唱えた。
 
 県内で地域の町づくりにかかわる住民や建築士らが参加したパネル討論もあり、「風景の良さを言葉で表現することで守りたいものが明確になる」「地域の歴史や文化を見直すことが、誇りを持つ原動力になる」などといった意見が出ていた。
<京都新聞:2006年3月7日>

 「うれしい風景・かなしい風景」研究室は、かなしい風景をなくそう、というよりも、うれしい風景をたのしめるくらしをどう取り戻すかを考えています。

「地球温暖化対策計画」で答申案
京都市環境審 市民意見を募集

 京都市環境審議会は10日、2010年までに市内の温室効果ガスの総排出量を10%削減(1990年比)するための行動計画「地球温暖化対策計画」の答申案をまとめた。06年度から5年間に産業、運輸、家庭など6部門で、それぞれ二酸化炭素の排出量を02年比10%減らすことを目標とすべきと提案している。13日から市民意見を募集する。
 
 市内の温室効果ガスの排出量は、02年が822万トンと、1990年の805万トンから2・1%の微増。内訳をみると、「産業部門」は203万トンから151万トンに減少、「民生・家庭部門」は174万トンから204万トンに増加と、ばらつきがある。
 
 答申案では、各部門の排出量の増減には、環境対策のほかに、景気や人口増などの影響があることから、「現時点から各部門が等しく排出削減に取り組むことが分かりやすい」として、02年を出発点とした10%削減の目標を設定した。
 
 市は新年度の早期に同計画を策定する予定で、答申案では、▽ごみの発生抑制▽低公害車の導入推進▽過剰包装の抑制−なども盛り込むべきだと提案している。
 
 また、同審議会は06年度から10年間の環境行政の指針となる「新京都市環境管理計画」の答申案もまとめた。「発生抑制・再生使用を重視したごみ減量化」「自動車に過度に依存しないまちづくり」など3つの重点プロジェクトを設定している。
 
 両答申案への意見は、4月11日までに〒604−8571同審議会事務局Tel:075(222)3452。
<京都新聞:2006年3月10日>

 温室効果ガス排出量を半分以下に減らさなければならない、という科学者の見方もあるなかでは、根本的な人の意識改革、環境世紀にふさわしい人への進化をどう促すか、ということがとても大事な気がしています。「半分に減らすなんてかんたん!だって減らせば減らすほどたのしいんだもん」という家族、団体、企業がそろそろ目の前に現れてもいいのではないでしょうか。

水環境の基本計画を策定へ
大津市、来年度中に

 大津市は来年度中に水環境の基本計画を策定する。市環境基本計画に基づき「水をはぐくむ」、「水をいかす」など5つを基本理念としたおおむね10年間の長期計画となる。理念に沿って具体的な施策を打ち出すが、雨水浄化のための雨水浸透施設への補助制度創設や、道路整備などで埋没している「わき水」を探し、水路などに利用する「見せる水」事業などを検討していく。
 
 市は従来、水質保全など個別に対応していたが、水環境や水循環を一体的にとらえ、施策につなげる基本計画がなかった。新たに水環境基本計画の策定を決め、近く、専門家による計画策定委員会から提言を受ける。
 
 提言には▽水辺の生態系保全▽親水空間の確保▽水文化の継承▽治水・水害対策▽市民啓発−などが盛り込まれることになりそう。それ以外にも、雨水の水質浄化や地下水のかん養を目的にした雨水浸透事業の普及などに取り組む。市営施設で土壌改良などによる浸透事業を始めているが、これを民間施設に拡大するため補助制度を新設したり、一般住宅に雨水を有効利用する施設設置の補助なども検討する。
 
 また、比叡山の伏流水によるわき水が市内に数多くあるとされるが、住宅や道路整備で埋没しているものも多い。これを調査した上で掘り出し、わき水を活用した水辺空間の整備も手がけるほか、美しい小川の再生に向けて、地元と協議しながら具体策を打ち出していきたい、という。
 
 市河川課は「小川を整備する場合、地下排水溝にして道幅を拡幅してほしいとの要望も強い。水に親しむ川の復活には市民の理解が必要で、啓発に力を入れる」としている。
<京都新聞:2006年3月12日>

 いまの生活を維持しながら、日常のなかで川や森に親しむのはむずかしい。便利さや安心を追求するのはいいとしても、そのためにあまりにも忙しすぎませんか