第15回
2001年11月15日 菱川貞義
戦争と環境問題

 先々週に登場していただいた笹谷先生と同じ立命館大学(学部はちがいますが)で、環境にかかわっておられる経営学部・環境経営論の平井孝治先生にもお会いしました。
 
 びわこ市民研究所の説明が下手なのも手伝って、なかなかうまく平井さんに伝わらず、
「ところで、びわこ市民研究所は何をするところなの?」という始末。
 
 でも、なんとか、ぼんやりとはお伝えすることができ(?)、
「企業経営、環境経営にかかわることなら、専門だからいつでも相談にのる。」
と言っていただきました。
 
 一度分かってもらえると、あとは話がはやいです。
平井さんが考えている21世紀の広告について興味深い話を伺いました。

 

 「ミッション広告が21世紀の企業には必要になる。“どういう価値を創造するのか”を見つめる。“顧客満足を追及する”ではダメ。単に顧客の要望を聞いていたのでは環境負荷を高くすることも多いからだ。そうではなく、“パブリックな価値”を追及するべきだ。」
 
 「20世紀は、環境は先祖からの授かり物。そして21世紀は、環境は子孫からの借り物。だから環境をつぶしたらあかん。」
 
 「生活者が表向きに求めているニーズと本当に求めているニーズがある。企業の使命、ミッションを明確にして、顧客からミッションを支持してもらう。そこに“パブリックな価値”が見えてくる。そのとき広告の役割はミッションデザイナーとなる。」
 
 「びわこ市民研究所ももっとミッションを明確にする必要があるだろう。“ミッションを探しあてるのがミッション”というなら、それでもいい。」
 
 
 平井さんのことをいろいろお伺いしているうちに、
「じゃあ、びわこ市民研究所にぼくからのメッセージを」
と発展しました。
 
 「アフガン戦争はとても悲惨な環境破壊だ。それは湾岸戦争ですでに学習済み。これに関心を持たないエコロジストは偽物だと思っている。」
 
 「21世紀は人類の共生が大きな課題。自然や民族との共生が大前提。なのに報復攻撃というのは文明に対する挑戦だ。地球環境がだめになる。報復の論理にグローバルも、共生も存在しない。報復で、環境は悪くなっても良くならない。」
 

 
 「環境派の真価が問われている。アフガンを環境問題の視点から考えているのか。環境のどこに目を向けているのかを問いたい。環境問題はグローバルな問題のはずだ。テロを許しているわけじゃないがアフガンの干ばつやハンセン病等に対しても、日本ももっと目を向けないとだめ。できることは小さくてもいっぱいできる。戦争は環境問題そのものだ。環境サイトでもこのことを取りあげて当然のはずだ。」
 
 「他の問題を軽んじているのではない。しかし、目を向けないのはなぜ?“自分たちだけを守る”という発想は環境じゃない。琵琶湖もアフガンも同じに大切。といいながら個人的な焦りもある。この挑戦に対する意見広告とかいろんな手だてを考えているところだ。」
 
 「環境問題と報復との関係を見直す必要がある。環境教育や市民運動の中でも。琵琶湖に爆弾が落ちたらと考えたことがあるのか。琵琶湖が灰になったら、いまの我々の環境運動はどうなるのか。“真のグローバル、共生”は環境経営、環境管理にとって一番重要。環境教育でも一番重要。市民運動としても一番重要。」
 
 「環境を学んでいながら、報復が当たり前だという学生に失望している。そこに自分の考えがない。考える主体が確立されていない。」
 
 
 みなさんはいかが感じておられますか?
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