| 西川嘉廣さん 西川嘉右衛門商店会長 |
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| 第13回 |
ヨシの魅力が人を悩ませる
そして試行錯誤がおもしろい |
| 2001年10月31日 菱川貞義 |
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実は、かわらミュージアムで、菊井さんにお会いする直前に、菊井さんと同じくヨシと大変なつながりを持つ方々をお見かけしていました。工房で、「かわらのクラフトデザイン展」に出品するため、学生といっしょに創作しておられた山口県立大の井生先生、京都嵯峨芸術大学の金氏先生、有岡先生です。 金氏さんについては、以前より大橋さんから情報を得ていました。そしてなんと先週から「自然といっしょに作る」研究を発表している百木さんの親友だったんです。 「これはちゃんとお会いしないと、もったいない」 ということで、京都嵯峨芸術大学にズカズカとおじゃましました。 |
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<創作中に、とつぜん失礼しました> |
| 「ぼくと井生さんは、去年、瓦とヨシ紙の展覧会をしまして、何点かは西川さんとこにも置いていますが、その展覧会から菊井さんとおつきあいがはじまって、今年はじめて学生たちの展覧会をしようと、かわらミュージアムに集まっていたんです。」 『葦のデザイン』という論文を2年ぐらい前に読みました。ヨシについて本当に意欲的に活動されてますね。 しかし、金氏さんは、ちょっと思いつめた様子でいままでの経緯を話してくださいました。 「ヨシ保全条例の3つ(守る、育てる、活用する)のうち、“活用する”が一番大事だと思い、ヨシを使った作品を作ってきている。同じようにヨシに注目している仲間も大勢いる。」 「約10年前に県立美術館で展覧会をやって、テレビにも取り上げられ、市民もたくさん集まったが、でも、それで終わり。」 イベントとしては成功したがムーブメントにはならなかった。 |
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「デザイナーとしてこれではいけないと思いつつ、ぼくはなんとか細々とやってきた。」
「ヨシの需要増を目指して、合板を試作し、それで家具も作ってみたりした。でも作れることは分かったが、コストがかかるといわれて、そのままになってしまった。」 こういう商品はこのぐらいの価格じゃないと.....。 こんな常識が世の中をつまんなく、悪化させているんじゃないだろうか。 と、常々もやもやしていることを思いだしました。 |
| 「そんなふうに試行錯誤しているうちに、ヨシ紙の可能性に行き当たった。」 「大津市の鳥飼さんは手すきのプロで、ヨシの手すきの紙は完成している。手を加えなくても美しく癒しも感じる。」 |
| 鳥飼さんの名前は西川さんからも聞いたことがある。 それに大津市といえば、 「手すきヨシ紙制作の名人、平山一造氏が在住している。」 とも。 「西川さんの義理のお兄さんがヨシ紙の量産に成功した。手すきに比べたら、やはり風合いはそれほどでもないが。それでヨシを生かすデザインをやるために、かわらミュージアムで瓦と紙のデザインをやった。」 ヨシ紙の照明はコストがかかっても十分売れると思います。 |
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| 「実際に売れるまで、活用するところまで見ないといけない。」 「“展示するためのデザイン”はデザインの本質とはちがう。」 生活に生きるデザイン!? 金氏さん、金氏さん! ぼくはこれまで短い間に“ヨシを21世紀に活用しよう”と研究している、たくさんの方にお会いしました。 これからもどんどんヨシとかかわる人に出会う機会に恵まれそうです。 みなさん個性的で、アイデアがあふれていて、いつまでもこのままではもったいないです。 「ちょっと、やってみますか。」 |
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はい? 「うちの大学の学生なら、こういう研究は大いにかかわりがある。」 「いままでのアイデアも見ながら、21世紀に売れる商品を学生が考えていく。というのはどうだろう。」 「学生には、起業家精神を持たないとだめだと言っているんだ。だからおおいに学生にも役に立つ。」 そして、小学生や大人も交じっていっしょに楽しく研究できたらいいですね。 「留学中に知りあったフィンランドのクラフト作家を呼んだりもできる。」 |
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思い立って、すぐに来てみて、ほんとによかった。 (次回につづく) |
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| 10月26日まで朝日新聞社アサコムホールでやっていた、「ヨシ博物館がやってきた」展示会を見てきましたので、ちょっと写真を紹介します。 |
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ヨシ紙照明 |
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ヨシかまくら
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