西川嘉廣さん
西川嘉右衛門商店会長

第16回
スーパーおいそが氏のヨシ博士
2001年11月22日 菱川貞義
 西川さんは忍術使いにちがいありません。忍者で有名な甲賀の里もそう遠くないし。
だって、西川さんのスケジュールを聞くといつも、
「いまスケジュールはずーっと真っ黒けなんや。」
「あれに、これに、それと、あれと......。」

 
 講演やら会議やらNHKや雑誌の取材などが連日のように組まれています。そのうえ、ヨシ博物館の館長として来館者を迎えておられます。
 
これじゃあ自由時間がまったくない!
それに、
あれ、そこは2つの予定が重なってますよ。
 
 何か忍法でも使わなきゃとてもこなせそうにないスケジュールです。
なのに、
「大学の教授の頃のほうがもっと忙しかったな。」
 
 そんな西川さんですが、いつもこころよく会っていただいてます。先日も予定がふさがっているにもかかわらず、
「先約があるんだが、その人と菱川さんは会っておいて損はない。」
 という感じで、とても充実した取材活動が続いています。
 その方は、琵琶湖・淀川水質保全機構の赤瀬孝也さんで、世界湖沼会議に出展するブースの展示物にと、西川さんのヨシ博物館から数点お借りするために来られたのです。

 
 確かにこれはつながっておいて損はない。と思い、びわこ市民研究所のことを聞いていただきました。そしてめでたく(?)、赤瀬さんも、びわこ市民研究所のファン(?)になっていただきました。
 後日、赤瀬さんから琵琶湖・淀川水質保全機構の取り組みを伺い、サイトで紹介したいと思います。
 

 西川さんに、『ヨシの研究プロジェクトを学生にやってもらおうと、金氏さんと百木さんが京都嵯峨芸術大学の学生に声をかけているところです。』と報告すると、
 
「実は、小学校や中学校もそんな動きが出てきてるんや。」
 
 といって、2枚のチラシを見せていただきました。
 
 1枚は、
小中学校教育研究会近江八幡支部からのもので、市内小中学校環境主任10名程度が集まる11月13日(火)の環境部会で、西川さんから『環境教育部会への指導助言』『ヨシを題材にした環境教育のありよう』について聞きたいというもの。
 
 もう1枚は、
滋賀大学教育学部附属中学校からで、西川さんを11月16日(金)に総合学習のゲストアドバイザーとして招き、『滋賀の「環境」づくりの視点』に対して指導を受けたいというもの。
 
 ヨシ原に囲まれた地域の小中学校が総合学習の中で、地域の資産であるヨシをきっかけとした環境教育を試みようとしています。

(次回につづく) 


 金氏さんの論文『葦のデザイン』を今週も紹介します。
 
<現在までに提案してきた主なデザイン(続き)>
●タピストリー
 透ける素材に穂付きのヨシを縫い込んだデザイン。およびヨシとヨシ紙を組み合わせたユニットを連続させたタピストリー。ヨシを布や和紙と組み合わせてモダンな和風のイメージにしている。

 

 

デザイン/道窪生子

 
●パッケージ
 段ボールの側面の孔に細いヨシを差し込み、ヨシの隙間を活かしたデザイン。キャンディのパッケージなど様々な応用が考えられる。段ボールとヨシの組み合わせは、パッケージのほかにも発展性がある。

 

 

デザイン/森田眞理


●アクセサリー
 高品質のヨシの端材を活用するデザイン。端を焦がし、その色をアクセントにしている。ヨシの色艶を活かしてビーズ、木、皮紐、石など他の素材を組み合わせて様々なデザインが展開できることが確かめられた。

 

 

デザイン/金氏ほか

 
●生活用品
 ヨシを身近な生活用品に利用したデザイン。葦ペン、インセンススタンド、コースターなど、特別な技術や道具を使わないで誰もが工夫し制作できるよう考えている。工作教材にも発展させることができる。

 


デザイン/山田育宏、山田るみ

 
●ヨシ紙のクラフト
 ヨシで漉いた和紙にヨシから抽出した染料などで草木染めをしたデザイン。扇子、団扇、絵はがきなど幅広く応用できる。今回の提案の中で最も商品性の高いデザインである。
 
●グラフィックデザイン
 レターセットやペーパーバッグなどに葦のイメージを取り入れたデザイン。今回は、ロゴタイプデザインを中心に展開しているが、植物の紋様や、ヨシ群落をモチーフにしたパターンの開発など様々な展開が可能である。
 
●絵本
 琵琶湖の環境やヨシについてやさしく学習できる絵本。大津市の小学校のいくつかで既に教材として使われ始めている。

 

 

デザイン/釜田聡

 
●教材の開発
 大阪市内の児童館でヨシ笛工作教室を開催した。その後、小学校の先生方との研究会をもち、教材としてのヨシの適性を検討している。年齢等にあわせて工作の程度を工夫する必要があるが、笛に限らず様々な工作教材の可能性がみえてきた。
また、ヨシを手掛かりにした環境教材についてのテキスト制作という新しいテーマも出てきている。
 
 
西川さんの論文とともにヨシの情報を「びわこ図鑑」の中でもまとめていきたいです。
Copyright (C)2001 Biwako Shimin Kenkyusho all rights reserved