西川嘉廣さん
西川嘉右衛門商店会長

第21回
ヨシ!もっと活用しよう!
2001年12月27日 菱川貞義
貴山さん
「近江八幡市には公立で10の小学校と3つの中学校(私立をあわせると11の小学校と4つの中学校)がございます。その中で環境教育に携わっている方が小中学校教育研究会近江八幡支部の環境教育部会に集まっているんですが、こんど西川さんから、ヨシを題材にした環境教育の可能性をお聞きしようと思っているんです。」
 
 
 そして、後日、環境教育部会でヨシ博物館を見学したあと、西川さんが、小中学校の先生方を前に、やさしく、しかしとても熱っぽく語りはじめました。
 
「私が小さなヨシ博物館をつくった目的のひとつは、ヨシというものをなるべく多くの方、特に小さい子どもたちに親しみをもってほしいという願いを含めているんです。」
 
「いま、環境問題は老若男女が力をあわせて取り組むべき問題だと思う。ヨシについていえば、総合開発やら干拓事業やらで、琵琶湖のヨシ原は昔260ヘクタールあったのが、いまは半分の130ヘクタールに減ってしまっている。これは内湖は計算に入っていない。内湖は昔37もあったが、いまは15に減っています。内湖にはだいたいヨシがたくさん生えていました。内湖の数自体も減っているし、これを計算すると、かつてのヨシの総面積の80%が失われているんです。」
 
「それでヨシ条令をつくって、ヨシを守り育てる努力がなされた。それで10年間でどれだけ増えたかというと、実際に成功したのはわずか10ヘクタールなんです。
ヨシ原をこわすのは簡単にできますが、それを直すのはいかに大変か。学識経験者や大人だけではだめなんです。」

 
「ヨシで一番大変なのは“活用する”ということ。ヨシは昔、人間生活に密着していました。スダレ、衝立、屋根葺きの材料・・・。でもいまは風前のともしび。ひとつは生活様式の変化、もうひとつは中国からの安いヨシの輸入が原因。ヨシをビジネスにするのは、いまは個人や企業には不可能とも思えるような状態です。」
 
「なのに、なぜ税金を使ってヨシを増やそうとするのか。それは、ヨシの環境への働きが世界中で認められてきたからです。4つの働きがあります。」
 
「1つめは、水をきれいにする。水質浄化の作用。2つめは、魚や鳥や昆虫など多様な生物の生息場所になっている働き。産卵をしたり、子育てをしたり、隠れ場所にしたりするわけです。いまフナズシがべらぼうに高くなっているのは、外来種の影響も大きいですが、ヨシ原が減ってニゴロブナの稚魚がうまく育つ場所がなくなってきたというのも大きいんです。」
 
 
「3つめは、ヨシが美しい景色を醸し出す、景観形成に役立っている。昔はヨシの群落は日本全国どこにでもある普通の風景だったんです。そのことの証拠にはヨシにちなんんだ地名がたくさん、数えきれないくらいある。でもいまでは北海道では釧路湿原、東北では北上川流域、関東では霞ヶ浦、関西では琵琶湖と、特定の場所に行かないとヨシ原は見られない。それで近江八幡のヨシ原には観光客が多く来るようになったんだと思います。4つめは、護岸作用。ヨシによって岸辺を侵食から守ってくれる。」
 
「本当にヨシがあると水がきれいになるのか。これについては学問的に証明されています。25、6年前にドイツの論文が発表され、その後、世界中の研究者の研究によって、まちがいなくヨシには水をきれいにする働きがあるという結果が出ている。事実にもなっている。ヨーロッパ中で現在1000カ所以上、ヨシを使った浄水設備があります。どういう点がいいかといいますと、まず設備投資が少なくて済む。維持費が安い。運転に高度な技術を要しない。先進国でもキャンプ場とかそういうところでは適切な設備となっている。開発途上国でも大変有望であるといわれています。」
 
「現在の世界的な研究は、なぜヨシがあると水がきれになるのかという、より詳細な研究です。それともうひとつは、浄水設備もどういう構造をとるのが最も効果的かという段階に進んでいる。日本は極めて遅れていると思っています。」
 
「住民の取り組みでは、東近江水環境自治協議会を例にとれば、ヨシ刈りボランティア、ヨシペンで絵を描いてみようとか、ヨシの風景を絵とか写真に撮ってみようとか、創作狂言をやろうとか。また、近江八幡にとっては大切な文化遺産である八幡堀があるが、かつては荒れ放題であったのを、いまの状態にまで住民の力で取り戻し守ってきた。」

 
 
 西川さんは、環境にとってのヨシの重要性とともに、住民にできることの大きさを訴えられました。そして、日本はもっとやれるはずなんですね。
 
 ヨシには環境にとって、ふしぎでおもしろいパワーをいっぱい持っていて、子どもの環境教育の教材としても魅力があります。子どもたちが楽しくヨシとつきあいながら環境のことを考えていき、地域の大人たちと共鳴することで“住民の力”がパワーアップすればいいですね。さらにまわりの地域と共鳴し、世界と共鳴することになれば、なにかステキなことが生まれそうです。
 

 
 (次回につづく)

 前回につづき、
『声文』の一部を紹介します。
 
 歩くのが楽しくなってきたね お堀ばた
 
 
 鏡を見るように毎日八幡堀を見ています。
 ゴミが浮いていると悲しくなります。

 
 
 一番大切なダイヤモンド
 ダイヤモンドみたいにキラキラ輝く子供達
 そんな子供達が安心する町にしていきたいですね
 

 
 美しい町ですが、若い人が生活できるような何かがほしい。
 刺激がないのが不満です。
 

 
 古い家 電気製品 家具等と
 共に年とり いつまでもつか
 

 
 歴史の古い街であるからこそ、先人の思いを大切にし、歴史を共有し、今に生かしていきたい。この街が好きです。
 

 
 せっかくきれいになって来た八幡堀
 何故ゴミを捨てるの?
 

 
 古き良き物を大切に 若い方(力)で新発想を
 

 
 このところの旧市内には独り暮らしのお年寄りや住む人のない家々がずい分とふえてきました。たった一つのスーパーも閉店してしまい、平日の日中は町中ガラーンとしています。かつてのにぎわいが夢のようです。いろいろ事情もあるでしょうが若い人達に定着して欲しいです。子供や若者、壮年、老年、あらゆる年代が層を作って、はじめて「活気のある、あたたかい町づくり」ができるのです。
 
 
 流れのある活きた八幡堀に戻してほしい。
 西の湖を始め環境浄化と風景、慣習、特産物の保存に努めてほしい。
 

 
 つかまえて!!夜の暴音・暴走族
 
 
 旧八幡、子供達の遊ぶ声があまり聞こえない
 

 
 もう少し優しく、もう少し思いやりがあれば(大人達に)大好きな子供達の笑顔がもっと見られるのに・・・・
 
 
 全国に一つしかない、誇れる町づくりをしたいものです

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