西川嘉廣さん
西川嘉右衛門商店会長

第34回 ヨシも麻も農業!?
2002年4月4日 菱川貞義
西川さん
「そろそろ岡田さんのところへ行くとするか。」
 
 また、ゆっくりヨシ染めの話を聞かせてください。
 
 そして、ヨシ博士とぼくは岡田麻(株)代表取締役の岡田守弘さんと会うため、能登川にある事務所に出かけました。岡田さんも額田さんや仲岸さんたちと同じく、不耕起に魅せられた一人です。
 
 岡田さん、たねやの額田さんから「岡田さんもおもしろい方、いえおもしろい不耕起栽培をやられている」とお聞きしました。
 
 
岡田さん
「去年の暮れから、びわこ市民研究所でお米の研究がはじまったのを仲岸さんから聞きまして。それからずっと、びわこ市民研究所に関心を持っていたんです。」
 
 
「仲岸さんには『ふるさとオーナー会』の理事をやっていただいてまして、生産部会のほうの責任者なんです。いま理事が10名で3つの部会にわかれています。生産部会が仲岸さん、ネットワーク部会が私、オーナー会が額田さん。我々は市民ボランティアとして、長勝寺のほうの田んぼで、仲岸さんに来ていただいてつくっているんです。不耕起は本当におもしろい!」
 
「我々の役目は、生産農家と市民をつなぐパイプ役になろうというものです。生産の方はこういう農法をしたいんだけど売る方法が分からん。生産農家同士もネットワークを組んでいるんだけども、消費者とつながるところがどうしてもうまいこといかない、というところがありましてね。」

 
 
「我々消費者のほうは、そういう有機農法の米を食べたいんやけど、農家とつながりがない。ひとりでそれをしようと思ってもなかなか、知恵もないし、教えてもらえる人もいないし、とてもむずかしい。それでそういう人たちをつなごうというのが、この『ふるさとオーナー会』を立ち上げた目的なんです。そうしてはじめてみると、またいろんなことが見えてきたんです。」
 
 
 びわこ市民研究所もそうです。とにかくはじめてみて、それで、びわこ市民研究所がいったいどういうところなのか、どんな役割があるのか、いろんなことが見えてきています。
 
 額田さんから、岡田さんは麻でもすごくおもしろいことをやっていると…
 
 
岡田さん
「麻のほうもいろいろお話したいですが。」
 
西川さん
「家内がヨシの草木染めをちょっとはじめて。で、いまは絹を使ってるんだが、それを麻でできんやろうかと。出かけに言っていたんです。」
 
 
岡田さん
「ヨシと麻というのは同じ草なんです。麻のことはまた、2時間でも3時間でもしゃべってしまいます。麻は今度、環境素材としてもっと広く考えていこうと。織物として考えていくといまのような展開になるんですが。麻というところまで広げて、麻の1字で考えるとですね、もっといろんな展開ができるんじゃないかと。それを商品化するために、いま研究してるんです。ドイツ、オーストラリア、韓国、中国を中心に原料を集めてます。いま原料は向こうにありますから。」
 
西川さん
「昔はこのまわりに…。」
 
岡田さん
「いっぱいあったんですよ! GHQの大麻取締法ができたときに、すべての麻の栽培を禁止されましてね。いまはごく少数、滋賀県では2ヶ所ぐらいですね、特別の催事ごとのために栽培されているんです。免許をもらってやってるんです。」
 
 
「いまはいろんな情報も取り入れながら、繊維以外の麻をやろうとしているんです。昔のままの商品では生活に合わないと思うんで、現代の生活に合わせたカタチに素材を転換することが必要だと思うんです。プラスチックや化学製品に代わるものを麻でやるとか。有害であるけども使わざるを得ない素材があれば、それを麻でできないか、と。」
 
西川さん
「麻は有機農法と関係があって、それで農業をはじめられたんですか? それとも麻とは別として有機農法のようなものに興味があったんですか?」
 
岡田さん
「別だったんですけど、それが最近ひとつになってきたんですよ、実は!麻も究極のところは農業なんです。我々の以前の商いは繊維業界ですよね。あるいは衣料。でも突き詰めれば農業までいくんですよ。」
 
 
 そうすると、ヨシも農業として考えられますね。
 
「そう考えていいと思います。そう考えるとかなりの展開が可能になることが見えてきたんです。そして、麻で開発できたことはヨシでも可能になるんです。

 
西川さん
「そうすると…、商売敵になるのかな?」
 
 いえ、相乗効果になるのでは…
 
岡田さん
「商売敵にまで発展すればうれしいです。」
 
西川さん
「いや、仲良く協調できると思います。」

 
 
岡田さん
「ヨシと麻は同じ草としてとらえられるんです。それも人間が手を加えることによって栽培が可能になる植物です。それも短期間で、麻は3ヶ月で成長します。それで、実も油も繊維も素材として使えて、捨てるところが無いんです。なのに、まだまだ捨てられているのが現状です。そして麻製品はヨシと同じで自然に帰るのでゴミにはならないんです。」
 
 
 脳科学の養老孟司さんはゴミによって人類は滅びると言ってました。古代の四大文明は木材を消費し尽くした時点で消滅し、20年ほど前も我々は石油がもつかと心配した。ところが、いまになって分かったのは、問題は石油の埋蔵量ではなく排出物、つまりゴミだということ。いまや人類は、資源ではなくゴミで滅びる可能性が高いと。
 
  
 
 (次回につづく)

西の湖一周エコハイキング
 2002年3月9日(土)に東近江水環境自治協議会の主催で「西の湖一周エコハイキング」がありました。これは「西の湖美術館づくり」として毎月第2土曜日に行われる西の湖周辺の清掃整備の手始めとして催されたものです。
 
 美しい西の湖にはゴミなんかどこにもないように見えますが、みなさんのゴミをひろう手は休まることはないようです。
 
 
 ゴミをひろうみなさんの姿はとてもかっこいいです。ゴミを捨てる人もよく見かけますが、ほんっとうにかっこわるいです!そしてゴミを捨てる人を思うとかわいそうになります。
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