西川嘉廣さん
西川嘉右衛門商店会長

第36回

ボランティアでヨシ!としない

2002年4月18日 菱川貞義
西川さん
「麻のことは会社のパンフレットに詳しく載ってるんですか?」
 
岡田さん
「ほとんど商品紹介です。サイトを見ていただけると最低限のことは載ってます。でも2年ほど更新していませんが。」
 
 そういえば、農家の仲岸さんも2年ほど更新できていないとなげいておられました。
 
岡田さん
「法律のことはともかく、麻のことをもっとやってみたくて去年の5月に麻の研究会を立ち上げたんです。えらい広がってきまして、油で車を走らせる企画を琵琶湖でやろうとか。」
 
 麻の油で動くヨシ舟をつくるっていうのもいいですよね。
 
 
岡田さん
「いま市民レベルで、コツコツと“思い”のある人が増えてきているのも事実ですね。今後それをいかに産業化するか。でないとくらしの中に入っていかない。会社としての課題だと思っています。」
 
西川さん
「麻に思いがあって、それで、どうして不耕起をはじめられたんですか?」
 
 
岡田さん
「麻と同じでおもしろいと思ったんです。不耕起の話を聞いたとき『これはおもしろいぞ』と。で、仲岸さんたちと出会ったんです。それで額田さんとも知りあいまして、たねやさんという会社で取り組みたいと。なんか気持ちがひとつになってきましてね。そして去年の4月8日に『ふるさとオーナー会』が立ち上がったんです。」
 
 そういえば、4月4日にヨシ博物館がオープンしたんですよね。
 
「えっ!? ヨシも4月8日ですか?」
 
 
西川さん
「4日! “ヨシ”で4月4日。」
 
岡田さん
「ああっ! 4・4(ヨシ)ですね。ご、語呂合わせですか!!」
 
 
西川さん
「アイガモ農法とかとドッキングすることは考えていないんですか?」
 
岡田さん
「ないです。不耕起は元々のイネの持つ力を最大限に生かしていこうというのが根本にありまして、人間が手を加えすぎると土にとってもイネにとっても良くないと。イネを本来の姿に戻してあげようというのが岩澤先生のお考えなんです。わたしもこれに参加して2年経ったところです。1年目は聞きながら、仲岸さんにちょこっと田植えしてもらったりして、あとは全部自分で、えらい苦労してやりましたね。」
 
「わたしはオーナー会をとおして何がしたいかというと、一般の消費者が無農薬のお米を食べたいとかいう欲求を持っているわけですね。また自分で農業をやってみたいという人もいるわけです。で、こういう会で一般の人たちが農業に参加できる、参加しやすいやり方を考えたいんです。どちらかというと市民サイドの考え方をしていきたいんです。わたしたちは農業を変えていこうとか大げさなことは考えてないんです。結果として農業が変わるかもしれませんが。」

<農業のくわしいことは「おいしいお米!」コーナーをぜひ見てください>
 
「環境問題は農業じゃないんです。われわれ農法はすぐ変えられるんです。農薬を使わなかったり、水を流さないようにしたり。でも一番変えなきゃならないのは人の気持ちなんです。大量生産に慣れてしまったわれわれの生活意識そのものが環境問題なんだと!」
 
 そうです。もっとまじめに人の気持ちの問題について取り組まなければならないですね。
 
「昔は大量生産じゃなかったんです。どうやったら前の状態にもどせるか。頭では分かっていても、実際の行動がついていかない。そこにズレが生じていますよね。そのズレを無くす。意識を変えるためと生活を変える手助けができんやろかというのがこの『ふるさとオーナー会』のふるさとづくりの活動なんです。“ふるさとのあるくらし”というのがわれわれのキーワードです。」
 
 
西川さん
「“ふるさと米”というのは岡田さんが考えられたんですか?」
 
岡田さん
「みんなで考えました。みんなの心の中にある“ふるさと”を実現していこうというのがこの会なんです。だから、山の奥地へ行ってやろうというのではないんです。いまの生活そのものの中にふるさとを持とうと。極端なことは考えてないんです。例えば、いっぱい田んぼはあるんです。アパートとアパートの間にも田んぼはあるでしょ。そういう田んぼを生かそうと。」
 
「いま能登川でやっている田んぼは、となりが民家で、どんどんどんどん開発の手が来ているところです。たまたまそういう田んぼを見つけましてね。その田んぼは本当に自然のままで残ってるんです。将来、住宅になるだろうと、みなさんほったらかしにされていたんです。そんな放棄田が25反あったんです。そこを貸してくださいと言ったら、みなさんおどろかれたんです。『いまの時代に田んぼやらしてくれって、いったいどんなグループや』て。でも、われわれの気持ちを分かっていただくと、いまはもう町をあげて動いていただいてまして。」
 
 
 その田んぼに行ってみたいんです。鳥がいっぱい飛んでくるとか、仲岸さんから聞いているんです。
 
「白鳥やカモが住みついてるんですよ。それでこんな大きなナマズも住みついてます。それとカエルにヘビ…。ようこんな街中でこんな田んぼよう見つけたなと。もうギリギリのところで発見できたんです。2年前に1反だけやってみて「これはすばらしい場所や」と分かって。で、よく歩いて見ると放棄田がいっぱいある。2年目はたくさん借りてやってます。」

 
西川さん

「まさに“ふるさと”が再現されつつあるんですね。」
 
岡田さん
「わたし、去年、いろいろ試行錯誤の中で『ふるさとオーナー会』のイベントをしたんですが、もう地元の方が底上げしていただいている状態ですわ。だから、これが一番の成果じゃなかったかなと思います。」
 
「今年はわたしたちの活動を学校の教育の中に取り入れようと思っています。そして子どもたちに不耕起の体験を1年を通してしていただいて、秋には収穫の体験学習をしてもらおうと考えているんです。」

 
 
西川さん
「給食に不耕起の米を使うとか。」
 
岡田さん
「そうです。給食にも自然米というか無農薬米を使っていただくとか。地道な活動をしていこうかなと。これはボランティアではありませんから。」
 
 
西川さん
「ボランティアは慈善事業じゃない。」
 
岡田さん
「これを元にくらしを実現していくわけですから、くらしづくりをするわけですから、お金を吐き出すようなボランティアはやらんとこうと。」
 

 
西川さん
「でないと持続しません。1年やそこらしか。」
 
 なんだか似てるなあ、おふたりとも。西川さんもいつも「ボランティアも実費ぐらいかせがないと継続できない」とおっしゃっています。
 
 一度かたまった人の気持ちを変えていくのは並大抵ではなさそうです。「何が環境によくて何が環境に悪いのか」の前に、継続的な取り組みで、人の意識の中に「環境への思い」をじっくりと育まなければならないんですね。

  
 
 (次回につづく)

NHKの「ひるどき日本列島」
に生出演したヨシ博士をご覧になりましたか?
 2002年3月20日(水)にNHKで西川さんとともにヨシ博物館や菊井さんによるヨシ笛演奏などが生放送されました。
 
 
 楽しくテレビを観ましたが、期待していた尾崎さんたちの出演はありませんでした。残念!!ですが、ごくろうさまでした。
 
 番組では「さすがヨシ博士!」とうなるシーンがありました。それはヨシ博士が女性レポーターをヨシ博物館に案内するときにおきました。
 
 
レポーター
「ヨシ博物館は蔵を利用してつくられたんですね。」
 
西川さん
「はい、土蔵なんです。」
 
レポーター
「じゃ、さっそく行きましょうか。」
 
西川さん
「どーぞう。」
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