西川嘉廣さん
西川嘉右衛門商店会長

第41回

虫がくっててもヨシ!

2002年5月23日 菱川貞義
 昨年の創作環境狂言の時のスピーチとかを聞いてますと、丹波さんの活動のテーマは“いのち”なんですね。
 
 
丹波さん
「そうなんです。すべては“いのち”のことになるんです。安全な食といっても、目に見える関係になっていればウソをつけない。ところがね、池田牧場の女主人はなげいとるんですよ。『消費者はね、私どもがウソついたものしか買ってくれない』『まともに言ったら買ってくれない』『それがひじょうに悲しい』と。それで私が『目に見える関係をつくりましょうよ』と。そしてお互いに支援する。」
 
 
「例えばキャベツで一番問題なのは虫とかはどうしても入るわけですよ。それで虫に有効なときに、『1回ぐらい農薬をかけさせてください。それをかけなかったらもう穴だらけになるんです。』と言えるようにする。その穴だらけがいいんだっていっても、そんな虫だらけで気持ちの悪いもの食べてくれないから、両者の思いを解決するには、結局、話し合って、合意の上で決めていくしかない。スーパーができて、産地と消費者の間を断ち切ったわけです。昔は地産地消だった。それをもう1回復活させたい。」
 
 
「消費者と話し合って、専門家の知恵も借りながら、農薬を使わない。あるいはできるだけ使わないようにして、他の生きものとかと協力しながら野菜や果物もつくっていけたらと思う。それを売っていけないかなと思ってるんです。」
 
「工業製品はともかく、でも“いのち”を持っているものを食べるときにはこの辺のことがないと具合が悪い。本当はお酒もお味噌も醤油もここで取れたものがいい。ここの水でつくって、その土地の風土で育てて、その土地で食べるのがおいしいんだろうと思う。ぼくは昔の味を知っているので、いまの味には満足できない。」

 
 “いのち”について生産者と消費者との会話を重ねていけば、納得のいく品質と価格が合意されていくんですね。
 
「みんなスーパーには勝てないというが、ぼくは十分勝てると思う。安い高いより“いのち”には大事なことがいっぱいある。」
 
西川さん
「目に見える関係になっていないためか、雪印とかの信頼のブランドもウソがばれて大変なことになっている。」
 
 ブランドへの信頼も、大企業ブランドとか、リーディングカンパニーとかじゃなく、目に見えるブランドかどうかが大きくなっていくような気がします。
 
 
丹波さん
「東レにおりましたときに明らかに法律違反と思われる指示を上司から受けたときに、従わなくてもいいという一文を就業規則の中に入れろと、法務室の連中と話し合ったことがあるんです。」
 
西川さん
「就業規則に入ってないと、良かれと言ったことが、降格やらクビやら左遷につながってしまう。」
 
 そういうとき、上司の命令に従わないことが企業利益につながることを確認する必要がありますね。規則に入れるだけじゃなく、奨励しなきゃいけないですよ。
 
「雪印の社員も不正をとがめた社員がいたらしいんだが、そんなことをしたら出世をあきらめんならん。自分一人ならまだしも、家族を持っていてはなかなかできない。」

 
 
 インターネットなどから情報が入るようになって、ウソをつきながら企業利益を出す企業側の論理はだんだん通用しなくなる。今後は会社も不正をとがめる社員を大切にしなければならないし、社員もどんどん会社の不正をとがめるようにしないと、出世どころか職を失ってしまいます。
 
 (次回につづく)

 「お知らせ&ご案内」コーナーですでに案内しています、東近江水環境自治協議会の創作環境狂言が5月26日(日)にあります。興味のある方は丹波さんに問い合わせてみてください。
 
創作環境狂言
「琵琶の湖(うみ)その後」

2002年5月26日(日)
安土町公民館1階大ホール
  
 好評を博した「琵琶の湖(うみ)」の続編として、昨年の世界湖沼会議で実施された「琵琶の湖(うみ)その後」が一般の方を対象に、東近江水環境自治協議会第3回総会のあとに催されます。
<プログラム(予定)>
14:45〜15:10
狂言「清水(しみず)」 彦根伊呂波会
15:10〜15:25
狂言解説 大蔵流狂言・茂山家弟子筆頭木村正雄先生
15:30〜16:45
創作環境狂言「琵琶の湖(うみ)その後」
<参加協力金>
一人1000円(定員400人)
<申し込み・問い合わせ先>
丹波:0748−46−2006
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