奥田修三さん
安土西の湖観光

 
第8回

西の湖研修会

 
2002年9月5日 菱川貞義
 2002年8月23日(金)、B&G安土海洋センターで、安土小学校と老蘇小学校と安土中学校の新任の先生方を対象に、安土町教育委員会による「西の湖研修会」がありました。
 
 目的は、地域の資産をこれからの環境教育に役立ててもらうため、「安土といえば、西の湖」というフィールドをまず知って、体験してもらおうというものです。「先生が西の湖を知らないでは、安土で環境教育はできない」ということでしょう。
 
 そうくると、この人が登場しないわけがありません。
 
 当日のプログラムは、まず2人の講師による講義からはじまりました。
 
 
「西の湖と葭・葦」講師:竹田耕介氏
 竹田耕介さんは、100年以上の歴史をもつ葭商の5代目で、ヨシ戸職人でもあります。ヨシを通じた環境保全活動にも熱心で、アジア湿地シンポジウムにも出席し、ヨシの重要性をアピールされています。
 
※竹田耕介さんは別の機会にくわしく紹介したいと思います。
 
 続いて、奥田さんの講義です。
 
「西の湖の漁業」講師:奥田修三氏
 奥田さんは、西の湖の60年前と現在との比較をしながら、内湖の独特の機能について興味深く話されました。そして内湖を住み処とする、魚や貝やヨシといった生きものが持つ、水を浄化する力などを訴えました。
 
 講義のなかから、このコーナー(おもしろエコびと)で紹介していない話を少し紹介します。
 
(奥田さん)
 いくつもの内湖があったときは、水が自然に循環してヨシ地や貝のおかげできれいにしてくれたんです。
 
 小中湖、大中湖が干拓されて、水が循環しなくなってしまいました。そして湖底にはヘドロがいっぱいたまっています。まだ30年前はイケチョウガイなんかがいっぱいいましたが、いまはいません。淡水真珠もほとんど全滅です。
 
 
 18年前、ブラックバスの試食会をやったが、ほんとうにおいしかった。
 
 わたしの考えでは、あんまりブラックバスを悪者にしないで、ブラックバスのおいしい食べ方をもっと県とかが言ってくれたらいいと思う。例えば、カマボコにしたらおいしいですよ、とかいってくれたらブラックバスもいい魚になると思うんです。
 
 
 当時、ブラックバスがイメージが悪いということで、県が新しい名前を募集して、ついた名前がビワバスです。そして、この漁具がモンドリです。フナやコイをつかむための大きい口があるんです。それでわたし、ブラックバスも大きい口をしているから、モンドリという名前をつけたらいいと思ったんですけど、だれもモンドリを知らんかったから、採用されませんでした。
 
 
 西の湖探険をずっとやってますが、子供のほうが心が動くみたいです。だから大人より子どもを西の湖に連れてやるようにしています。
 
 そして、奥田さんは用意してきたふなずしを先生方に配りはじめました。
 
 安土の教師やったら、ふなずしを食べないと。ほんと、ひとかけらでも食べたら、ふなずし食べたと言えますよ。
 
 みんな奥田さんに勇気づけられて、おっかなさそうにしながらも、全員がふなずしを口にしました。でも意外にも「おいしい」という声が多く聞かれました。う〜ん、これは奥田さんの作り方が上手なんでしょうね。きっと。
 
 そして西の湖へ先生方と舟ででかけました。
船上研修
(奥田さん)
 内湖から琵琶湖へ出る、いまでは唯一の川、長命寺川に水位を調整する堰ができたんです。
 
 今年の夏は琵琶湖の水位が下がって、もうずいぶん長いこと堰がおりています。西の湖側と琵琶湖側でこんなに水位がちがいます。
 
 
 こうなると、情けないことに、もう西の湖はただの溜め池になってしまい、水がすごくきたなくなるんです。
 
 西の湖だけが残って、たいへんなことになって。だから残った西の湖を見ていかなアカン。みんなで考えていかなアカン。
 
 
 近江八幡のヨシ原にはホテイアオイはなかったんです。あっても、ホテイアオイは寒い冬を越すことができないんです。安土に湧き水が出るところがあって、そこだけホテイアオイがあったんですが、3年前から地球温暖化のせいで、このあたりでも、ものすごく増えました。
 
 
 研修会を終え、船着き場にもどったら、前にはなかった、看板を発見しました。
 
(奥田さん)
 ブラックバスとか釣ったら、湖に放さないで、ここに入れてもらおうと思ってこんなのをつくったんやが。ちょっと字をまちがえてしまったけど、まあ、ええやろと思って。
でも、あんまり入れてくれへん。
 
 (つづく)

奥田さんの西の湖・水郷めぐり
 舟は長命寺川を琵琶湖へ向かい、
 途中で円山へと抜けていきます。

西の湖の漁具と漁法(福沢常一さん)
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