奥田修三さん
安土西の湖観光

 
第9回

果てのない世界

 
2002年9月19日 菱川貞義
むかし、小さいころ
どこまでもつづく線路にあこがれた。
どこにでもつれていってくれる
汽車にのりたくてしかたなかった。
 
終点はいったいどこにあるんだろう?
いってみたい。
でも、いってしまったら
二度と帰ってこれない気がした。
 
あこがれの線路に耳をあて、
かすかな汽車のことばを聞きながら、
果てしない夢を見ていた。
 奥田さんにとっては、内湖が果てのない世界でした。
 
(奥田さん)
 昔は、1回魚を遠巻きにして囲んで、10坪ほどに追い込んで獲ったら、200貫ほどがかんたんにつかめた。鍋に湯わかして、ウロコと内臓だけとった魚を入れて、味噌入れて、それで味噌汁を食べた。それがおいしいんやわ。わたしら冬に漁に行きますやろ。行ったらいっつも鍋と味噌をもって行くんです。寒いからいつも火は焚いているから、鍋に西の湖や大中湖の水をくんで、そのまま魚と味噌を入れて食べてたんやわ。あとはご飯があったら十分。もうお茶でも何でも、水なんか家からもっていかんでええんです。それが内湖の水はくせがなくて、家の水より、地下水よりおいしかったのを覚えています。地下水はちょっと鉄分が多すぎみたい。
 
 水がきれいだった昔は漁師だけで生活できたんです。田んぼなんかしなくても。安土漁業組合には65人もいたんです。戸数で40戸。内湖はほんとに魚には最高の環境だったんです。貝曳きなんかしたら、もうつかみきれんぐらい、いっぱいいたんですよ。探す必要なんかないんです。それで2、5、8の日に八日市へもっていって売ってたんです。
 
 漁は小糸(コイト)、刺網(サシアミ)が多いです。タツベはなかなか漁獲があがらん。エビタツベは西の湖では貝がとれすぎて、貝がすぐ口をふさいでしもて、かんじんのエビが獲れないからダメです。昔はガバンコを使ったおもしろい漁とかがあって、わたしはね、ここの独特の漁法を再現したいと思ってるんです。
 
 (つづく)

奥田さんの西の湖・水郷めぐり
 ヨシ博物館のすぐそばまでやってきました。
 バス停からヨシ博物館へ通じる橋をくぐります。

西の湖の漁具と漁法(福沢常一さん)
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