2002年6月6日 百木一朗
イトーキクレビオのトリノチェア 第4回  

脚の部分

 
再生プラスチックの使用
回収したバッテリーケースから、粉砕分別、洗浄粉砕、ペレット化
機構部カバー、レバーなどに採用している
 
座面のインナーシェル。
半透明で向こうが透けて見えている。

 メーカーとして、はじめは環境は義務感であったかもしれないが、「もう十年近く前になると思いますが、環境によいものを作っていくことが企業の商品力になりそうだという認識が出てきました」 
 環境対応がビジネス競争にもプラスにはたらくというのである。

 トリノチェアの脚はポリプロピレン(PP)で出来ている。また、前述の座面のインナーシェルもPP製だ。
 事務チェアの脚は強度が必要なため、従来はガラス繊維入りのナイロンが多く使われてきた。PPでは強度が足りなかったのだが、同社は独自の研究により強度的にも満足できる繊維入りPP脚の実用化に成功したのである。

 PPは環境への負荷が比較的少なく、使用後はリサイクルできる樹脂である。また、燃やしても塩ビのようにダイオキシンなどの有害ガスを発生することがほとんどない。

 「再生樹脂を活用することも大事ですが、新しい樹脂を使用してもそれが廃棄後にリサイクルできるということが重要だと我々は考えているんです」と邑上室長。

 座と背の布にもPPの布を使っていると聞いて、こちらの質問「それはペットボトルから再生できるという布とは違うんですか?」
「ああ、それはPETですね。違います。PETはいま評判で、ペットボトルを活用できるから良いと言われています。洋服とかができている。それはよいが、その一回までなんですね。布が廃棄されたらそれ以上どうにもできない。ゴミになるだけです」 
 その点、PPは二度三度と再生させることができる。

 トリノチェアはこの結果、鉄と樹脂をあわせて、全体のなんと89%をリサイクル可能な素材とすることができたということだ。挑戦はまだまだ続く。この次はどんな製品が出てくるのだろうか、楽しみである。

(この項おわり)
Copyright (C)2001 Biwako Shimin Kenkyusho all rights reserved