色見本を見せてもらう。ベージュ色、茶色や白っぽい中に小さな黒のつぶを入れたものなどから選ぶことができる。ブロックの全体は共通の灰色だが、表面に近いところを色の層にしてあるのだ。見本帳を見て冗談で僕が「おいしそうですね」と言う。大阪名物の岩おこしに似ている。
ところで、トレスルーは約十年前、1992年に誕生しているが、この当時は原料にタイル廃材を100%使っていた。その後タイル廃材だけでなく他の原料も使えないか、特に増加を続ける廃棄物が使えないかということを研究し始めたということだ。そこで、ゴミや下水汚泥の溶融スラグが候補にのぼってきたらしい。
「タイル廃材というのは民間企業から出るものですが、ゴミの溶融スラグを使うことが出来るようになれば、より一般の社会に近いですから、いいんじゃないかという風に考えたわけです」と徳田さん。
「タイル廃材が現在も半分くらい入っているということですが、タイル廃材というものはたくさんあるのですか ?」
「今は少なくなっています。始めに発売した当時は多くあったのです」
「なぜ減ったのですか?」
「その間にやっぱり環境に対する世間の考えが変わってきたということでしょう。
まず産業廃棄物に対して厳しくなりました。タイル産業が、経済効率ということから考えても、不良品を出さない努力を本格的に行ったと思います。
そして今は各企業は、ゼロエミッションを目指すということで、仮に廃材があっても、処理料を払ってもいくらでも外へ出すということは許されません。自社でもう一度活用するとかの工夫を非常にされています」
「でも、そうすると、これの原料になるものが無くなる。まあ、すぐには無くならないのでしょうが」
「それもあります。そして、溶融スラグの中でも結晶化溶融スラグという良いものが使えそうだということになってきたわけです」
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