2002年7月3日 百木一朗
東レのトレスルー 第4回  

滋賀県下水道局の溶融スラグを手にする徳田さん。下の写真にあるトレスルーにはこれが20%、タイル廃材が80%使われている。

 
舗装された大津市園山の歩道

 さらに、この舗装材は「地域循環」にしようという考えがある。たとえば、滋賀県から出たゴミや下水汚泥を溶融スラグにして、滋賀県内の道路の舗装に使う。もう既に滋賀県内でもその実例はできているのだが、各地でそれを本格的な流れにしていこう、というのだ。

 大津市園山に大津市が実際に施工した歩道があるというので行ってみた。これには滋賀県湖南中部浄化センターの下水汚泥から作った溶融スラグが使われている。赤茶色とベージュを組み合わせて舗装してある。あまり長い範囲ではなかったがきれいな仕上がりだ。ほか、千葉県、新潟県、名古屋市など実施例も増えている。

 ゴミの量は増え続けているのだから、このような方法で地域のゴミや汚物をリサイクルして道路を整備するようになってほしい。しかし、他の舗装材より費用が高いため、まだこれからといったところのようだ。

 だから担当者に、性能の良さを見てほしいと説明する。透水性があるから道がすべりにくく安全ですよ。保水性でヒートアイランド現象を緩和します。多孔質で騒音も低減します。水を一時的に蓄えるので都市洪水の軽減にもなります。磁器質セラミックなので長年使用しても強く汚れにくいですよ。 …「でもちょっと高いですね」と、なりがちだ。

 徳田さんは95年頃からこの開発に加わったそうだが、一番苦労されたのは?と尋ねても「ずっと苦労つづきです」と言われるだけで、多くを語らない。
 しかし、溶融スラグの質が一定しないとか、困難なことはたくさんあると推測できる。トレスルーとして透水性、保水性の性能や強度などの品質はきちんと保持しなければならないのだから。配合比率を変えて実験、など実に地道な作業だろう。

「主旨はよく理解していただけるのです。性能でも、地域循環型ということでも。しかし、その工事の予算に合わない、と言われるのが実状です。しかし、だんだん予算的に確保もして使いたい、と言っていただけるようになってきました」

(この項おわり)
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