パソコン好きでKNI社員の森澤さんは仕事で企業向けにパソコンの設定やメモリーの増設などを行うが 、個人の趣味と合わせて次のように感じるという。
「メモリー増設などの時は静電気防止をしたりで、とても大事に扱っているのに、少し後には不要とされ、バキバキ壊される事を想像すると忍びない。作る人はとっても苦労して開発したものです。技術の粋ですし、僕はただただ見とれている時もあります」
同社は丁寧に手解体していると前に書いたが、世間には機械で丸ごと壊すような処理業者も決して珍しくはない。
実はパソコンを中古販売するのに一つ問題がある。ハードディスクに残っていたデータから情報がもれる「データ漏洩」の心配だ。だから企業では、やはり物理的に破壊した方がよいと考えているところも多い。
それについても同社は、データを消去し、復元できない処理を責任もって行えるので、安心してリユースを検討してください、と顧客企業にお願いしているところだそうだ。
このトレハンの成功を基にして、KNIは近く、大阪・日本橋に常設の中古パソコン店舗をスタートさせる。また Web上にも販売サイトを立ち上げる。
「世間によくある中古パソコン店は、中古品をできるだけ安く仕入れて高く売る 、というものですが、うちの考え方はちょっと違うと思っています」と言う西河部長。
「当社の処分リサイクル事業という基盤がまずあるからです。その品物の中で活用できるものを中古品として販売する。もし売れ残ったらリサイクルもしよう、ということです」
「トレハンをするとゴミになるはずだったものが活用されて、減る。素材リサイクルに回すものが減る。『リデュース』になるわけです」
最近のパソコンの使い方を見ると、インターネット接続とメールが主という人も少なくない。それなら少し古いパソコンでも充分に間に合うそうだ。中古で程度の良いものはそんな人に買ってほしい。
そして、トレハンは、少し詳しい人に。
「トレハンは、解体のコストを抑えるひとつのアイデアでした。それが予想以上に喜んでもらえた」
今後もトレハンを進化させたような、リユース事業を進める考えの同社だが、それもマニアやパソコン好きに参加してもらいながら、手作り感覚でやっていきたいという。
それをこれからも追いかけて、またご紹介したいと思います。
|