2002年8月1日 百木一朗
KNIのトレジャーハンティング 第4回  

トレハン会場風景

同社が常設で始める店舗の名前は『大阪市内』という、変わった名前だ。
ちょっとウケねらいで考えた。
「それどこで買ったの?」「大阪市内で」「大阪市内のどこで?」「いや、だから『大阪市内』っていうお店があるんだよ」……という感じ。

 
左から、森澤さん、山本さん、西河部長
 
ある企業から引き取ってきたパソコン類。これをリユースに。同社でも従来なら疑問を感じず処分していたはずの品物だ。

 パソコン好きでKNI社員の森澤さんは仕事で企業向けにパソコンの設定やメモリーの増設などを行うが 、個人の趣味と合わせて次のように感じるという。
 「メモリー増設などの時は静電気防止をしたりで、とても大事に扱っているのに、少し後には不要とされ、バキバキ壊される事を想像すると忍びない。作る人はとっても苦労して開発したものです。技術の粋ですし、僕はただただ見とれている時もあります」

 同社は丁寧に手解体していると前に書いたが、世間には機械で丸ごと壊すような処理業者も決して珍しくはない。
 実はパソコンを中古販売するのに一つ問題がある。ハードディスクに残っていたデータから情報がもれる「データ漏洩」の心配だ。だから企業では、やはり物理的に破壊した方がよいと考えているところも多い。
 それについても同社は、データを消去し、復元できない処理を責任もって行えるので、安心してリユースを検討してください、と顧客企業にお願いしているところだそうだ。

 このトレハンの成功を基にして、KNIは近く、大阪・日本橋に常設の中古パソコン店舗をスタートさせる。また Web上にも販売サイトを立ち上げる。

「世間によくある中古パソコン店は、中古品をできるだけ安く仕入れて高く売る 、というものですが、うちの考え方はちょっと違うと思っています」と言う西河部長。

「当社の処分リサイクル事業という基盤がまずあるからです。その品物の中で活用できるものを中古品として販売する。もし売れ残ったらリサイクルもしよう、ということです」
 「トレハンをするとゴミになるはずだったものが活用されて、減る。素材リサイクルに回すものが減る。『リデュース』になるわけです」

 最近のパソコンの使い方を見ると、インターネット接続とメールが主という人も少なくない。それなら少し古いパソコンでも充分に間に合うそうだ。中古で程度の良いものはそんな人に買ってほしい。
 そして、トレハンは、少し詳しい人に。
「トレハンは、解体のコストを抑えるひとつのアイデアでした。それが予想以上に喜んでもらえた」

 今後もトレハンを進化させたような、リユース事業を進める考えの同社だが、それもマニアやパソコン好きに参加してもらいながら、手作り感覚でやっていきたいという。

 それをこれからも追いかけて、またご紹介したいと思います。

(この項おわり)
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