2002年8月8日 百木一朗
ダイハツ滋賀工場の排水処理 第1回  

滋賀工場の中の排水処理施設。広さはこの写真の6倍くらいはある。

 

都市部の工場(図下)では排水は下水へ送られ、下水処理が行われる前提だが、滋賀工場の場合は農村地帯のただ中にあり、排出する水は川へ放流されてそのままびわこへ行くのだから、絶対きれいでなくてはならない。

 
処理前の汚水をためた貯水槽。向こうに生産した自動車がならんでいるのが見える。

 自動車を生産するには塗装工程などで大量の水を必要とする。もちろん機械の冷却、洗浄などにも水は不可欠だ。ひどい言い方になるが、大抵の工場は水を汚さないと製品が作れないのである。

 滋賀県の名神高速道路竜王インターチェンジ近くにあるダイハツの滋賀(竜王)工場は、水を汚しても排水はきれいにしてから出す、ということに大変な努力をしている。 同工場の排水処理施設を見学させてもらい、担当の方からお話を伺ってきたので、皆さんにお伝えしようと思います。

  その排水処理場はとても大きい。小型プールのような水槽が幾つも幾つも並んでいる感じで、その間にタンクがありパイプが走る。排水は順に汚れを取り、はじめドロドロの汚水でも最後には水道水とみまちがうほど透明になって出ていくしくみだ。

 大阪府池田市に本社があり、軽自動車などを製造しているダイハツ工業株式会社。同社は関西地方にいくつかの工場をもつが、環境報告書を見ると、滋賀工場の排水水質規制値は他の工場に比べて非常に厳しく(数字の桁がひとつ違う)実績もそれを充分クリアして値が低い(つまり排水がきれい)。

 これは都市部にある本社工場などでは排水は下水へ送られ、下水処理が行われる前提だが、滋賀工場の場合は川へ放流されてそのままびわこへ行く、ということがあるからだ。
 工場建設当初から、地元の滋賀県や竜王町が廃水処理について要望を出し、会社はそれに出来るだけ応えようとした。そして協定を定めたのだ。水以外にも環境全般についてであるが、水への要望は特につよかった。

 そして、2ヶ月に一度は「環境パトロール」ということを行っているという。 環境パトロールは地元や役場の人と会社の人が一緒に、排水の放流口や灌漑用水池を見て回り、協定をたしかに守っていることを定期的に確認しておこうというものだ。

 見学の前にこんな会話があった。「飲むための水ではないのですが、飲んでも問題ないくらい浄化しているので、テレビの取材とかあったときは、出来た水を飲んでみせることもあるんですよ」

 菱川と百木「本当ですか。じゃあ僕たちにも飲ませてください!」

(つづく)
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