2002年8月29日 百木一朗
ダイハツ滋賀工場の排水処理 第3回  

加圧浮上で浮いてきた汚れをかき取っている

 

 

 
ろ過器の内容を再現したモデル
砂などが層にして入れてある。
右は第二ろ過器の活性炭だ。

 ポンプの音なのか、施設内はギーン、ゴー、と音が響いて話し声も聞き取りにくいほどだ。
汚れた水を分けて集めている貯水槽から、鉄板の通路の両脇に手摺りの付いたような通路を進む。脇を見下ろすと水が流れている。少し進むと大きな銀色のタンクがあった。それが第1次処理の装置だ。
(前回の流れ図とあわせてご覧ください)

 第1次処理は「加圧浮上」という。ここでは、大きなタンクの中に強制的に細かい泡を送り込んでいる。マイクロエアーと呼んでいるそうだが、水が白く濁って見えるほど泡を送り込みその力によって水の中の汚れを浮上させる。すると水面に汚れが浮いてくるのでそれをかき取る。タンクの上部に登るとたくさんの汚れが取り除かれるのが見えた。これがうまくいっていないと後の処理具合に影響が出るので、はじめの重要な工程だということだった。

 次の第2次工程は「生物処理」。この水槽には微生物が入れてあり、長い小川を再現しているものだそう。12kmの小川に相当する流れの中で微生物により汚れが分解される。 硝化槽とも言われるところで、チッソやCOD、BODを取り除く。ゆっくり流れることによりその効果が出るので入り口から出口まで約12時間かけて流れるのだそうだ。
 
 さらには「凝集沈殿」これが第3次処理だ。今度は汚れの重いものを沈めてやろうというもの。これも速く流すと沈みきれないものが出てくるのでゆっくり送るようになっている。底に沈んだものは集めて脱水し泥のかたまりとしてまとめる。1次処理で取った汚れなども合わせて集め、セメントの材料として使われる。以前にこのコーナーで書いた東レの舗装材ブロックもこうした汚泥を活用したものであった。

 第4次処理は「ろ過」の工程。これが最後だ。タンクの中に砂などを層にして入れたろ過器があり、上から通過させて、水を漉す。さらに活性炭のろ過器タンクも通す。
 ほかに途中でニッケルを取り除く処理などもある。

 とにかく、考えられるあの手この手で処理を行う。そして次のように自然にお伺いをたてている、といえるのではないだろうか。

「これくらいまではきれいな水に戻して出しています。ですから、自動車を作ってもいいでしょうか?」

(つづく)
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