最近の自動車には左の写真のようなステッカーのついたものがある。これは国土交通省が低排出ガスと認定した車に与えるもので、その中でも最も良いのが「超-低排出ガスレベル(☆☆☆)」と表示している車だ。ガソリン軽自動車でこの(☆☆☆)を達成したのは、ダイハツが初めだった。
自動車やその排出ガスというのは私たちの生活にとても大きな影響を与える。排出ガスを少しでもきれいにするためにどんなことが行われているのか、同社の技術者の一人である丹功(たん・いさお)さんにお会いして話を聞いてきました。
ダイハツ工業(株)滋賀工場。ここは自動車とそのエンジンを生産している工場であるとともに、設計開発部門があり技術者たちが集まっている。新開発の車を走らせてみるための大きなテストコースもある。前回は同工場における排水処理施設について書いた。工場を動かすときに出してしまう環境への影響を少しでも減らそうという努力だった。今回は、自動車そのもののエンジンの話である。
排出ガスをできるだけきれいなものにするためには、まずエンジンの設計を変えて有害なガスがあまり出ないように工夫する。それとともに、どうしても出てしまうガスを「触媒」というもので浄化するということを行う。「超-低排出ガスレベル(☆☆☆)」を達成するために大きな役割をはたしたのは、同社新開発の「TOPAZ触媒(トパーズしょくばい)」だった。
この触媒というものはエンジンのそばに取り付けられており、中身はにぎりこぶしより少し大きい程度の品物だ。しかしエンジンルームをのぞいてみても、素人目にはどれが触媒かわからないだろう。エンジンの排出ガスがパイプを通って外へ出される前にこの触媒を通過するようにしてある。
排出ガスには有害な炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)などが含まれている。 炭化水素や窒素酸化物は光化学スモッグや酸性雨の原因になるといわれている。また一酸化炭素は人体に直接有害だ。これを触媒のところを通過させることによって、無害なガスに変換することができる。すべてではないが、かなりよくなり、無害な二酸化炭素(CO2)、水(H2O)、窒素(N2)などに変えてしまうので、世の中の空気をあまり汚さないですむというわけなのだ。
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