2002年10月31日 百木一朗
ザ・パック(株)の環境ペーパー材 第4回

「鮎屋の郷」のスイアルパッケージ

 
こういうケーキ箱にも適しています
 
会社の屋上にあるケナフの鉢植え。左にはヨシも見える。

 「私どもの業種は受注産業といいまして、お客様から注文を受けてはじめて品物になります……」と平田さん。「このスイアルパックにしても、こういう良い材料を用意しました、採用されませんか、と営業活動する。まだ皆さんに受け入れてもらえるかどうかわからなかった。それを理解して始めて注文を出してくださったのが、滋賀県の『鮎屋』さんでした。忘れられません」

 これは樹脂フィルム素材の商品袋だ。スイアルパックのひとつの特徴は、水酸化アルミニウムを紙だけでなく、フィルム素材にも配合できることにある。だから多様なパッケージに使われる可能性がある。

 元々は住友化学工業(株)が開発したスイアルパワーという技術を包装材に応用したものということだ。先に書いたように、焼却炉で焼かれると水酸化アルミニウムが活性アルミナになり、焼却炉内の塩化水素ガスやダイオキシンを吸着する。また、焼却灰として埋め立てられた後にも灰の中の鉛、亜鉛、水銀などの重金属が雨で流出する前に吸着・固定化する。

「これが特に良いのは食品を直接入れるようなパッケージなのです」という説明。例えば、ケーキの箱。寿司の箱。宅配ピザの箱、などだ。なぜかときくと、そうした包装箱には食品の油分が付く。油のついたものは再生紙に回してはいけない。
 使った紙は再生紙にするとよいのだが、それはできないため燃やすしか方法がない。 再生の役には立たないが、焼却炉へ行ったとき能力を発揮するというわけなのだ。

 以上のように、環境に取り組んできた紙類を見せながら平田さんは、
「この次に世の中に要請されているものは何なのか? まだまだ開発を続けますよ。」と元気に語っている。

(この項おわり)
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