家をもし建てるなら、無垢の木を使った、自然のぬくもりある家にしたいと考る人は多いだろう。
木童(こどう)の木原所長は、そんな家を造りたいと思っている人と材木の産地、設計者などをつなぐコーディネーターをかって出ている人だ。木童は材木屋さんなのだが、普通われわれが思う材木屋さん以上のことをしている。兵庫県三田市の木童神戸事務所で木原さんにお話を伺ってきた。
「僕のところに、 自然の木材で家を建てたい、とたくさんの方が相談に来られます」と木原さんは話す。遠い所では鹿児島、福岡、新潟、などからもやって来た。
そんな相談をする必要があるのだろうか?
工務店に『無垢の木を使ってやってほしい、多少高くついてもよいですから』と頼めばよいのではないだろうか? と僕は思ったが、そう簡単ではないらしい。
そのように頼むと、大抵の工務店やハウスメーカーは「そりゃ、やめたほうがいいですよ」と応じるらしい。何軒回っても同じ。無垢の木は割れる、反ったりして、後で困る。べらぼうに高くつく。だからあきめなさいと口をそろえて言う。やってくれる熟練の大工さんをさがせばよいが、まず見つからない。
しかし(左の写真のような)雑誌記事などを見て「こんな家に住みたい」と思う人が、あきらめきれないで木原さんのところへ来るのだという。
「できますよ、と僕が言うと、喜ばれます。初め来たときは皆さん、顔がひきつってますが、だんだん和やかな顔になっていく」。
多少割れてもいいじゃないですか。木は生き物なんだから、ある程度しょうがないし。そんな家があってもよいでしょうと言うと『そうですよね』ということで、夢が実現するかもしれない希望を持ってもらえる。
工務店など建設する業者はなぜ反対するのか?
それは一つには、彼らが本当には木のことをよく知らない現状があるらしい。
最近の住宅建材は合板やチップボードのように接着剤で固めて、反ったり割れたりの心配がないもので揃っている。効率よく作れる。クレームもない。そうしているうちに、本当の木と付き合うことが減って、木のことを詳しくはわからないから触れないようにしているようだ。
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