2002年11月21日 百木一朗
木童がすすめる自然木材の家 第3回

リフォーム中のマンション

 
 
室内を説明する太田さん
 
障子の内側が子供ベッドになっています

「では、実例を見に行きませんか」ということで、先ほど相談に来られていた、太田好紀さんのお宅へ行くことになった。自宅マンションをリフォーム中とのこと。
 木原さんと一緒に仕事をしている西田さんの車に乗せてもらって太田さん宅へ向かう。
ドアを開けたとたん、木の雰囲気に包まれた。中から小さなお子さん達の元気な声が響いている。

 実は太田さん自身がご家族と工務店をやっている人で、建築のことに詳しい。今まで仕事では特に無垢の木を勧めてきたわけではないが、個人的に大変ひかれるものがあった、と話す。

 「ここはまだ3年しかたっていない、普通の4LDKのマンションでした。それをリフォームすることに決めた直接のきっかけは、妻と下の子供が化学物質過敏症になったことでした」
 そこで、より自然な材料を使ったインテリアにしたい希望があった。

「この内装にしたからといって、過敏症が治るわけではないんですけれども、くつろげる、楽しい家に変えたかったのです」

 そのために木材が大事な役割をはたした。しかし、木を多く使うことが第一の目的だったわけではないという。まず、間取りを大きく変えた。設計者とじっくり話し合い、リフォームのプランを描いてもらった。
 太田さんは「マンションは上の階も下の階もこの列が皆、同じ間取りです。それでは面白くないじゃないですか。自分たちの暮らしに合った間取りにしたいですよ」

 案内の西田さんが解説する「 ここの設計士さんは、うちの木原が紹介したのです。昔の材木屋さんというのはそういう事をしていたものなんですよ。施主と大工を出会わせたり、もめそうになったら間に入ってあげたり。それと同じことを現代でやっているわけです。太田さんの事情と設計士さんの力量、向き不向きを考えて、お互いを紹介します」

 まず目に付くのは床のフローリングである。元はカーペット敷きだったそうだが、リビング・ダイニングのほとんどを木に変えた。元の床の上に木で土台を作りその上に、から松の12ミリ厚が張ってある。小さな節がたくさん出ている木だが、自然な感じで気持ちよい。ただ、板張りにすると歩く音が響いて下の階の人に迷惑にならない配慮が必要だ。 下地に防音ゴムをはさむなどできちんと対策をした。おそらくカーペットだったときより、むしろ静かになっているはずという事だ。

 障子がある所は、子供たちのベッドだ。奥からハシゴで登るようになっていて、リビングとは障子で仕切っているわけである。障子を開けておけば顔が見え、安心であるし楽しい。

(つづく)
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