2002年12月5日 百木一朗
キリンビール 缶と瓶の地道な努力 第1回

滋賀工場を訪れた日は紅葉がきれいでした

 
 
副工場長で環境室長の保坂さん(左)。右は廃棄物再資源化など担当の奥井総務係長です。

 ビール工場を見学した。施設内を歩くとビールをつくる良い香りがほのかに漂っている。多賀町にあるキリンビール(株)滋賀工場。
 出来たビールを缶に詰める最新の機械は1分間に2000缶の製造能力があるもので、目にも留まらぬスピードだった。瓶ビールを詰めるラインももちろんある。生産においては、できるだけ環境に配慮した工場でありたいと様々な面から努力しているという。

 副工場長で環境室長の保坂直人さんにお話を伺った。

「ご覧のように、地域的にも工場の中にもたくさん緑地がある自然に恵まれた工場になっています。ですから、例えば汚い排水を出さないなどにも努力しています」。

 水質の汚濁防止については地元の多賀町・彦根市や県の公害防止協定を守って測定・確認のうえ、犬上川に放流している。水はおいしいビールを作りつづけるのに大切ということもあって、関心が高いということだ。

「最近は従業員が力をあわせて敷地内にビオトープを作ったりもしているんですよ」

 工場では毎年目標を決め、エネルギーの節約や大気汚染防止、廃棄物の再資源化などに取り組んでいる。廃棄物についてはゴミとして埋め立てするものは無くし、100%何らかの形で再利用、再資源化している。

 ビールをつくるときに、ビールの仕込み粕(かす)がたくさん出る。このビール粕は昔から牛の飼料として活用されてきたそうだ。また、ビール酵母というものができるので、それは薬の原料になったりする。ビール粕は牛のエサだけでなく、もっと活用できないかということで、潰瘍性大腸炎という病気の人のための機能性食品を会社の研究所が開発。滋賀工場はこの食品を作る施設をもっている。
 他にも出来るだけ付加価値を高めた形で廃棄物・副産物を活用しているお話を聞いたが、全部はとても書ききれない。

 色々あるなかで、今回詳しくお聞きすることにしたのは、ビールの容器・包装についてである。

 例えば、缶(かん)の軽量化。同じ容量の缶で、使うアルミの量を減らし重さを軽くする。瓶(びん)のほうも軽量化している。
 わずかづつでも節約すれば、数多く消費されると結果的に大きな差がでる。軽量化されていると運搬のトラック燃料も少なくてすむなどのことがある。

 会社の研究所と缶メーカー、瓶メーカーが協力して、キリン独自の工夫をもりこんだ容器を開発しているのだ。

(つづく)
Copyright (C)2001 Biwako Shimin Kenkyusho all rights reserved