続いて、瓶(びん)の話へ移ろう。
ビール瓶は工場へ戻されて、また詰め替えられ何度も使われている。これを「リターナブル・システム」と呼んでいるそうだ。しかもビール瓶の回収率は99%(ほぼ100%)だという。大規模に行われているものとしては、リユースのこんなに良い例は、他にちょっとないのではないだろうか。
保坂さんは語る「これは歴史がそうしてくれたと思うのですが、お酒屋さんが昔から扱ってくれていて、お酒屋さんから買ってお酒屋さんに返すルートがきちんと出来ているのです。
近頃はディスカウント店とかでちょっとそうでないところもあるのですが、まだその仕組みはこわれていない。お酒屋さんは問屋さんへ戻し、問屋さんから工場へほぼ全部戻ってきています」
これを維持している仕組みとして、瓶の保証金制度がある。瓶ビールを買うと値段の中に5円の保証金が含まれている。瓶を返すと5円戻ってくる制度だ。飲食店で使われた瓶も、ほぼ確実に返されているだろう。
ただし、瓶が重いという問題があった。そこで、瓶も軽量化できないかということが研究された。ガラスの厚みを薄くする。薄くすると軽いが弱く割れやすくなる。それを防ぐためセラミックスコーティングをほどこして強度を確保した。
その結果、重量はそれまでの605gから475gへと、21%も軽くなったのである。
1993年から導入して徐々に入れ替え、現在は9割くらいが新しくなっているという。
この軽量化努力は、キリンがこれからも、コストが厳しくなるであろう中でも、瓶のリターナブルシステムを続けていこうという意志の表れだろう。
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