「ただ残念なことに、瓶は缶に押されて、わずかずつ減っています」と保坂さんが言う。
業界全体の統計(2001年)では、61%が缶で、瓶は22%。残り17%がその他(樽など)、となっている。
「実は、当社では、リターナブル瓶が良い仕組みだと思うので、瓶をもっと使ってくださいというPR活動をしたことがあるのです。新聞広告で1994年に6回、95年に5回、96年に4回、載せました」(写真)
「しかし、瓶の減少傾向が改善することはありませんでした」
その新聞広告の全文を紹介したい。1994年4月の新聞広告の例である。
(見出し)ビールを愛してくださる皆さん。ビールびんも愛してください。
(本文)年間約58億本が日本中に出まわるビールびん。
じつは、リサイクルの優等生といわれています。
いつも話題になるのは中味ばかりなので、今日はふだん目立たないビールびんのお話をしましょう。
ビールびんは、飲まれたあと回収され、洗って再使用されるリターナブルびんです。お店から皆さんのご家庭へ商品として流れ、今度は同じルートを資源として帰ってくる。1本のビールびんは、このサイクルを1年に3回もくりかえし、寿命がくるまで平均8年もの間ぐるぐると回りつづけます。
もちろん途中で割れたりして帰ってこないびんは、使用することができません。でも実際には皆さんのおかげで、99%のビールびんが無事に帰ってきます。
こうしてみると、ビールびんもなかなか捨てたもんじゃないでしょ。ビールファンの皆さん、これからもビールびんごと大きな愛情をお願いします。
(大きな字で)ビールびんの99%は、リサイクルされています。
このほかにもシリーズ広告のように何種類かの広告があり、瓶のことだけに集中して語りかけたのである。左の写真はそのうちのいくつかだ。
今は新聞広告はしていないが、同様の内容をイラスト入りで書いたパンフレットを作るなどして、折に触れPRは続けているという。
これを読んでいる皆さんもビール瓶を思い出して、時々でも瓶で買ってください。
そして、空き瓶がころがっているのを見つけたら、酒屋に返して5円をもらいましょう。資源ゴミとして出すより、その方がもっと良いのですから。
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