2003年1月16日 百木一朗
布おむつとゴミ問題 第2回

布おむつ「ケアステージ」製品写真(左)。このおむつは三層構造で出来ている。肌面は素早く水を透過し表面はサラサラに保たれる。これにはスポーツウエアで、汗を早く吸うので好評な素材が使われているそうだ。
吸水材は不織布で水をよく吸う。 そして、一番外側は防水布でモレを防ぐ。

 
吸水のしくみを説明してもらった、ファイバー加工技術室長の佐野さんです
 

吸水材の不織布繊維の顕微鏡写真。繊維を分割した極細繊維でできている。繊維の間に細かな空間がたくさんある(写真右)

 繊維が水を吸うのでなく、この空間に保水するので、多く吸水でき、逆もどりしない。また乾燥もしやすい。

 「それは専門業者さんで洗うわけですか?」と聞いてみました。
 洗ってまた使えるのはよいけれど、汚物のついたものを洗わなければならないわけで、大変ではないのかという疑問を持っていたからです。

「そうです。今はリネン業者さんにお願いしています」と相山さんの答えだ。
「老人ホームとか病院には、必ずリネン業者が入っています。シーツなどの汚れものを引き取って帰って、洗濯し、届けておられる業者さんです。そういうところは工業洗濯の設備をもっておられる」

 ただし、衛生のために大変厳しい洗濯の基準が定められており、洗って使おうという品物はその激しい工業洗濯に耐えなければならない。乾燥機も高温で充分殺菌する。いいかんげんな布製品なら縮んだり傷んだりしてしまう。

 この布おむつ新製品は、そうした機械を通しても吸水性能が落ちたり成形のくずれなどが起きずに、百回くらい繰り返して使えるように出来ているということだ。
 「紙おむつ百個ぶんのゴミの量となれば相当なものです。それが当製品では一つで済むのです」

「実は、これを発表して新聞に載りましたら大変たくさんのお問い合わせをもらいました」
例えば次のような反響があったという。
●ある公営の病院から、ゴミを減らしたいのでそういうものを使いたい。
●新潟県のある町から、在宅の方に介護費用として紙おむつ代を出しているが、負担が大変なので何とかしたい。それを使えばうまくいくのでは。
(ただ、洗濯のルートをきちんと作らなければうまくいかないだろう、ということを説明したうえでサンプルを送った)
●関東の看護学校から、教材に使いたい。
●紙おむつの某メーカーから、サンプルを見せてほしい。
●問屋さんから、ドラッグストアのルートで販売を考えたい。
●一般のお客さんから、どこで売っていますか?新聞を読んで、欲しいと思い百貨店へ買いに行ったけれど置いていないんですよ。
(まだ一般小売りはしていません、と応対)
●岡山県で、ゴミ問題から、やはり洗って繰り返し使えるおむつを開発しようとしている事業があり、そこが参考にしたいとの問い合わせがあった。

……などが代表的で、似たような問い合わせが非常にたくさん来たということです。

(つづく)
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