前回書いたように問い合わせが多かったのは、介護用おむつに関して困っているからでしょう。単純にゴミが多いということだけではなく、費用がかかる。大変多くかかる。紙おむつを買う費用、そして処理費用がかかるのです。施設はゴミをもっていってもらうのに業者に処理費用を払う。業者はそれを自治体の焼却場へもっていき、その中から焼却代金を支払う。
替わりに、布おむつを使うことにすれば洗濯費用がかかるが、トータルコストでいくらかでも軽減できれば、そして将来への展望がもてれば、との思いからのようです。
また、自治体によってはゴミの処理力で大変困っていて、そういう所は解決策の候補として関心をもたれているよう。 但し、自治体によって相当違いがありそうだとのことでした。
相山部長は「それから、使い心地が良いとも言っていただいています。布の安心感がある、とおっしゃいます」。布は紙よりも肌触りが良い。布に触れている安心感がある。これは介護される人の立場からの話だ。
ゴミを収集して焼却しなければならない自治体は紙おむつをどう見ておられるのだろう? また、老人ホームや病院などおむつを使う所はどう見ておられるだろう?使う人自身にとってはどうか?
僕はべつに、布おむつメーカー、紙おむつメーカーのどちらに組みするものでもないから、今の状況を知りたいと思いました。
そこでまずは、つてをたどって一つの老人ホームへ見学に行くことにしました。東レの森さんも行きたいということなので、ご一緒しました。大津市立の特別養護老人ホーム「榛原の里」(はりはらのさと)という所です。JR湖西線・堅田に近いところでした。
訪れると、きちっとした感じの施設で、広々しています。入居している人、110人の他に、ショートステイ(お泊まり)やデイサービス(日帰り)に来ている方たちもあるということです。
お話を伺えたのは実際の介護にあたっておられる足立義弘さんです。
まず、この施設では、おむつをどのように使って、どんな点に困っておられるでしょうか?
「うちでは、布と紙を重ねて使っています。長い試行錯誤の経験を経てこのやり方にたどりついたんです」と言われる。色々なメーカーから売り込みもあるという。これはお勧めです、これだけでいけます、と来るがそう簡単ではないとのことでした。
紙おむつは福祉の先進国、スウェーデン製のものを使っており、性能が良いそうです。しかしそれだけでは、やはり漏れるので布を併用している。まず木綿の普通の布おむつを敷いて、その上に紙おむつを重ねます。
昔からの木綿の布おむつはこのように補助用として使われている。今でも木綿の布だけでおむつにしている老人ホームもあるそうですが、快適ではなく、紙と併用している所が多いのではないかとのことでした。
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