元もと岡田さんは技術者です。油圧機械の設計などをしていた機械屋さんです。趣味のアマチュア無線をする電源としてはよいものができたけれど、それを製品として世間の方々に買ってもらうとなると責任がある。風が強すぎる時も大丈夫か、耐久性はあるか、危険な所はないか、岡田さんはフィールドテストを繰り返しました。
風車回転のテストをしている間、それがおこしている電気で趣味のアマチュア無線をやっているから、案外これが苦にならないという。嵐の中でやったりね。
「たとえば青山高原は風の強いところです。あそこでキャンプした時は発電した電気でコタツが入れられた。愉快ですよ。言うまでもないけど風力発電は夜でも発電できるんですからね」このように楽しんでしまう岡田さんはえらい。ただし、それは技術者の「いいかげんな製品は出せない」という精神からきているものに違いありません。
事業化したからにはもちろん売らなければならない。成功させて、もっと良い製品開発につなげたいのです。
岡田さんは語ります。「このキカイで、ささやかでも自分で発電してるでしょう。すると電気の大切さを感じますよ。消費電力の少ないものを求めるようになったり、こまめにスイッチを切るようになる。エネルギーの大切さが身にしみてわかり、省エネする気になるものです」
だから環境教育にもよい。学校に多く導入されていて、風で電気がおこることを生徒に手で触って体験してもらい、環境教育に役立っているということです。
万一、高速で回転する風車羽根が人に触れても羽根が先に壊れる設計で、怪我をしないように工夫されている。そのような念入りさもこの発電機の特長です。
今まで製品を買ってくれた人の中には、モンゴルを電動アシスト自転車で横断した人が充電用に使ったという実例もありました。そこは充分に電気が供給されていないため、絶対に必要だというのです。現地の住民も興味をもって見に来て、欲しいと言われたそうです。
日本の家庭で使うためというと、これではとても足りない事になるのですが、そういった海外あるいは離島などではまさしく頼りになる。とにかく背負って持っていけるくらいのものなのですから。そのような例を聞いていると将来は大変な用途が見つかるような気がしてなりません。
無線機の次に岡田さんは、キャンプ用の蛍光灯ランプを取り出して点灯して見せてくれます。この発電機はキャンプや釣りなどアウトドアライフにちょうど良さそうです。
風車はときどき急に向きを変えたり止まったりしながらも快調に回り、バッテリーに充電し続けていました。 |