2003年10月30日 百木一朗
新江州のミックスペーパー・リサイクル  第3回

お話を聞いた 中川武司 取締役・事業開発部長

 
高性能シュレッダーを使用中
 

再生するためパルパーで紙を水に溶かしているところ

 機密書類で50%もの紙がリサイクルされていないとは驚きます。そんなに多いのですか。
中川さん「そうですね。保存書類を含めるとそれくらいあります。社外秘の書類などは情報が流出しない保証がないので出せないでしょう。
 それに書類の全体量はますます増えています。ISO14001という環境マネジメントの基準がありますが、これをやっておられる企業だと、トレーサビリティーといって、きちんとやっていますという履歴を書類にして残しておかなければならない。ISO9000もありますね。これらの関係から、実は大変な量の機密書類が出来ているという側面もあるんです。」

「それと、余りに量が多いと本当にマル秘でないものと分別が不可能ということもあると思います。焼却炉で燃やす会社が多いようですが、量が多すぎるとシュレッダーで処理しきれません。

 そこで我々は、能力の高いシュレッダーをご提案しています。高性能なシュレッダーだと「イミダス」「知恵蔵」みたいな分厚い本を丸ごと入れても大丈夫です。バインダーに綴じたものもバインダーごとOKで、綴じ金具も機械にかかってしまう。スゴいでしょう。もともとは(株)明光商会のシュレッダーくずを活用するところから出来た、紙ゴミリサイクルのシステムだからなんです。

 それから、機密書類と別に、禁忌品と呼ばれてリサイクルから通常はずされている紙類があります。例えばノーカーボン紙・感熱紙・ラミネート紙など。ノーカーボンは目に見えないほど小さなインクのカプセルが付けてある。これが混じっていると再生した紙がまだらになってしまいます。しかし、全体の中に混じっていると分別が困難ということがあるはずです。
 だからミックスペーパーで再資源化できることが重要なのです。ごく一部駄目なものがありますが、何でも処理できる事で紙ごみに関してゼロエミッションが実現します。

 事務用紙を買うときは再生紙を使って、良いことですけれども、入口で格好よい。だけど出口で、裏口で 10t トラックで5台は燃やしているよ、という様な事がありますのでね。僕ら勝手口から出入りさせてもらっている者には見えてしまうところがあるんですよ。

 ちなみに、このミックスペーパー再生では、リサイクルが既にうまく機能している、新聞紙や雑誌・そして段ボールは原則的に対象外となっています」

 「全国に何カ所か、これらを受け入れるストックヤードを用意していて、そこへ運んでもらいます。1キロあたり7円で引きとります。紙を再生するには、まず機械に入れて水に溶かすんです。パルパーと呼ばれていますが、洗濯機のバケモノのような機械と思ってください。紙でない重いクズは水の底にしずみます。

 そのように比重で分ける。釣り針のお化けみたいなので引っかけたり、遠心分離器で分けたりと。粘着テープがベターッと付いたものとかを、いろいろやって取り除く。それは手間ヒマがかかる、ということはコストがかかる。だから通常の製紙会社さんは絶対にやらない事なんですが、それをしているわけです」

(つづく)
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