「 それと、先ほども言いましたように、循環させるということは、再生して作ったものは、使ってもらうようにしなければいけない。作った会社で在庫になってしまう。これが循環型社会構築のネック中のネックになるところだと僕は思っています」
「例えば町内の古紙回収の活動とかありますね。そこで一生懸命やっている人がいる一方で全然協力しない人もいる。
でも、その人が再生紙のティッシュペーパーとかトイレットペーパーを使ってくれていたら、ちょっとくらい質がわるくても使おうとしていたら『その人はグウタラかもしれんけど、ええ人や』って僕は冗談めかしてお話することがあるんです。古紙の回収は熱心でも、再生の黄色っぽいティッシュは嫌と言う人よりいい人です」
そうですね。売れないから、もう作れないっていうことで循環の流れが止まってしまいますね。だから使ってもらえるようなものが何か、ということになるのでしょうか。
「専門用語になりますが、チャネル開発をする必要があります。用途開発と言ってもいいですね。売れるような道筋をつくってあげないといけない」
「一つ例を言いましょう。大阪ドームで試合が終わるとたくさんの紙コップのゴミが出ます。その紙コップを再生して、近鉄バッファローズの紙メガホンを作った会社があるんです。
そして、阪神タイガースさんへも、っていうことで(笑)、紙コップなどをリサイクルし、板紙にしてタイガースの応援「うちわ」を作りました。喜んで使ってもらえるだろうと。普通のうちわは取っ手がプラスチックですが、取っ手のところも全部が紙で出来ています。だから、はじめにお話したプラダンと同様に、単一素材ですから、それがまたリサイクルできます」
「ここでは、紙コップのほかに、酒パックから再生したものを使っています。酒パックは牛乳パックと同じような形ですが、再生しにくい要素があります。牛乳パックは紙とフィルムでできているのに対して、酒パックのほうは紙とフィルムとアルミを使っています。
先ほどミックスペーパーとお話してきたのは、主に事務関係の紙ゴミなんですが、酒パックを作っている印刷工場からもゴミが出ているわけです。工場損紙(そんし)と呼ばれていますけれども、印刷ミスとか、余ったものとかですね。そんな製造中に出るゴミというのも余り知られていませんが多いものですよ。アルミを分離するなどで手間がかかるから、今まで全部が産廃になっていました。
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