2003年12月11日 百木一朗
永持ちするものを通販 カタログハウス  第2回

作業机に工具や修理品が並ぶ「もったいない課」の室内

 
修理品のひとつ、ラジカセです
 
充電式クリーナーの電池交換作業をしています

 修理部品の保有は20年など永く保有する商品もカタログの中には見受けられますね?

竹本エコサービス室長「30年間保有っていうのもありますよ。 それから、当社の『もったいない課』の修理では、もし修理部品がない時はその部品を作るための道具から作るってことをやっています。『もったいない課』へ見に行ってもらうとよくわかると思います。

 それから、修理をしていると商品の改善すべき点がわかることもあるんです。同じような故障がたくさん来ると、その商品の弱点が見える。それでメーカーさんとお話して改善してもらったものも実際あるんですよ。

『もったいない課』の修理は、部品の実費程度で技術料は頂戴していません。企業信頼のためのサービスとして必要なことと考えているからです。」

「なるほど。でも、僕は技術料ももらってそれも事業になればもっと良いと思いますけれど」

「実費程度ですが、お客さまが修理に出すには品物を送ってもらうので、宅配便の送料を負担してもらわなければなりません。帰りは当社で負担しますけれど。
 通販は悲しいかな、お客さまのすぐそばで直してあげることができないんです。この配送にかかわる費用、ならびにエネルギー負荷がある。
 それから送るには梱包しなければならないから梱包材の負荷もあります。それらは今後の課題と言えるかもしれません。

 それから、私が最近ちょっとひっかかっているのは、新しい電気製品などでは節電が進んでいるので、昔の商品が電力を多く消費する型だと、永く使うことのほうが良いかどうか疑問な商品もあるかな、っていう事がありあます。これは商品の種類によるんですけれども。」

 いろいろな側面から考える必要があるわけですね。
 修理の現場へ行ってもよいということなので、次に僕は中野区にある『もったいない課』を見学に行くことになりました。

 その仕事場に入らせてもらうと、作業机の周囲に工具や機械を置き、部品ケースが並んでいます。修理は主に会社を定年退職した人が担当しているとのことで誠実そう。

相当古い商品も来るのでしょうか?

修理担当の人「そうですね。例えば、このラジカセは10年から15年くらい前のものですよ。これは幾つも修理に来ますね。来るとまだ使ってもらっているんだな、っていうことがわかります。
 この機械は音量のボリュームが摩耗した故障が多いのです。あと、電源コードの所など。部品を交換すれば直って、また数年は充分使えますよ」

 次に商品の改善につながった事例を聞いてみましょう。

「これは充電式クリーナーです。掃除機ですね。充電の電池が入っていますが、500 回くらい充電すると交換が必要です。これは旧型で、分解しないと電池が取り出しにくいタイプ。
そのためお客さまから交換できないという問い合わせが多かったので、改善の要求をだしました。
 今は当方へ送ってもらいますと分解のついでに内部を清掃することにしているので、その後は永く使ってもらえると思います。また充電池も間違いなく、再資源化できますから、そういう利点も あるんです。

 それと、旧型は充電用アダプターがよく故障しました。これは充電を必要以上に続けると過充電になってアダプターがやられたのです。そのこともメーカーに改善を要望して、満充電になるとマイコン制御で自動オフするように改良されました」

 ほかにもいくつか修理を見せてもらうことができました。
 ところで、永持ちしても、いつかは寿命が来ます。そのあとは回収・再生もこの会社は行っている。また、引っ越しなどで商品がいらなくなった人の品物を引き取って次の人に永持ちで使ってもらおうと、中古品販売もしています。
 中古品販売の店舗『温故知品』が、『もったいない課』のビルの一階にありました。中古品を引き取ったら、やはりこの修理部門が点検して一年間無料修理保証のラベルをつけて出しているそうです。

 いろいろ考えるカタログハウスさん、次は何をするでしょう。注目していたいと思います。

(この項おわり)
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