2001年11月1日 百木一朗

水車は頼もしかった  第2回

 50年ほど前まで、水車は元気に働いていた。
 たとえば、田んぼに水を汲みあげる、揚水水車。
 水で水を汲む、というのはとても合理的なような気がします。

 揚水水車の例。水輪の先(上や横)に水をくむ箱や筒をつけたもので、水車が回るといっしょに水を汲みあげて田に入れるようになっている。(復元図)

 
 また、米をついたり、粉ひきするなどにも大いに使われた。能登川町に多くあったのも米をつく水車だった。
 言うまでもなく、水車は自然の力を利用したクリーンな動力源だ。このあたりは、小さな水路がたくさんあり、それぞれ水車を回した川が、びわこにそそいでいたわけである。
資料館の展示。これは回転軸
 
 日本全国で水車が利用された仕事は他にもたくさんあったようだ。紡績、石の粉砕、油絞りなど。それはちょうど現代の電動モーターやエンジンのようなものであった。
木製歯車(復元図)
 
 

 部品の多くは木製で、より効率よく働くよう、改良が積み重ねられたのであった。

(つづく) 


■全国の水車を巡っている加藤さんのこと
 今回の取材で水車資料館のほかに、石川県在住の加藤繁和さん(68歳)作の資料を参考にさせていただいた。
 加藤さんはその著作『水車?』(水車の疑問に答えます、という意味の題名)の中で「私は水車研究者でも郷土史家でもありません。ただ、1988年頃より日本各地を訪ね『いつ、どこに、どんな形の水車があった』を調べ、アルバム等にまとめることをライフワークとしている者で・・・」と述べています。
 しかしその資料は大変詳しくわかりやすい。まだ本のかたちにはなっておらず、手書きをコピーしたもので、水車を愛する気持ちがよく表れています。
 加藤さんはびわこ近辺の人ではないが、いずれ「おもしろエコびと」に登場願い、もっと詳しい話をお聞きしたいような方であります。
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