2001年11月15日 百木一朗

水車は頼もしかった  第4回


 水車でついた米はおいしい。
 能登川町の水車資料館では、水車を理解してもらうため、建物の内側まで復元し、本当に米をついて見せている。希望者には無料で精米を受け付けているが、希望者が多いので順番待ちになりがちだ。

昔たくさんの臼を並べて仕事していた水車小屋の内部
(復元図)

 

水車の軸が回転

杵を持ち上げ…

トンとつく

資料館で展示されている臼



 
 やってきた農家のおじいさんも「この水車でついた米はうまいはずじゃ」とうなづいた。
 資料館の説明によると、普通の機械で短時間に精米することは玄米を削っていることになったり、熱が発生したりして米に微妙な影響を与えるようだという。水車を使って臼と杵でゆっくりと精米する米は熱が発生しない。また糠(ぬか)と一緒につくことで潤いのある白米になる一方、栄養価の高い胚芽の部分も傷つくことが少なく高品質の白米となる。

 だが、ここではたくさんの米を精米するようにはなっていない。
 10kg入りの石臼が三個並んでいて三昼夜(72時間)かけてやっとできあがる。
 「兵庫県などからもわざわざ米をもってやってくる人があるんですよ」と館長。
 次のドライブに来たとき礼を言って持って帰られるのだそうだ。
  限られたスペースに臼をたくさん並べるため
両脇を狭くつくった臼

 機械よりおいしいのはそうだけれど、昔はそれが普通だった。そして水車は水車で能率を追求していたのです。
 のんびりがいいというのでなく、資料館の展示を見る私の頭には、もっと臼がたくさん並んで頼もしかったころの水車の姿が想像されたのでした。

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