2001年11月22日 百木一朗

ヨシ製品のある暮らし - 心豊かに -  第1回 <筆鞘・葦ペン>

 筆鞘。
 筆のキャップです。


 近江八幡にあるヨシ博物館には、かつてヨシ製品が日常的に使われていたことを示す品々が多数展示されています。ヨシ製品が身近にある暮らしはどんなだったでしょうか。

 幾つかのヨシ製品に注目してみました。そのひとつが、筆鞘(ふでさや)です。

 筆に似合ってカッコ良い

 私はイラストを描くから筆記具には興味があるのですが、昔の筆記具の代表といえば筆。そのキャップは今はプラスチックだが、それまではヨシ製のものを使うのが普通だった。

 節のところで切ると、薄くて軽いヨシはちょうどよいキャップになる。
「昔は全国の筆鞘だけでもヨシの需要は結構おおきなものだったのです」とヨシ博物館館長・西川さんの説明だ。

 葦ペン


 一方、「葦ペン」というものがあり、こちらはヨシそのものを筆記具にしたものです。
博物館で販売もされているというので一つわけてもらうことにしました。

 「画家の諸藤浩之先生が葦ペンで長年にわたり絵を描いておられる」と西川さん。
「この葦ペンも諸藤さんの手作りなんです。いろいろ試されて行きついた形で、他の人にはまねのできないものがある」

   ヨシを斜めにカットしただけのようなものだが、ペン先を見るとなるほど大変微妙な削り方がしてあり、それ自体が美しいものでした。
                    (つづく)

画家・諸藤浩之氏による葦ペンの本があります。関心のある方はどうぞ。
「葦ペンスケッチのすすめ」諸藤浩之著、日貿出版社 \2,800

 ヨシを語るヨシ博物館長・西川さんについては、菱川氏が、おもしろエコびと・西川嘉廣さん に詳しく書いています。そちらのコーナーもあわせてご覧ください。

 ここではヨシの製品に焦点を絞り、百木の視点で4回にわたってレポートをお届けする予定です。ヨシ製品は多いので、幾つかしか取りあげることができませんが。

Copyright (C)2001 Biwako Shimin Kenkyusho all rights reserved