2001年11月29日 百木一朗

ヨシ製品のある暮らし - 心豊かに -  第2回 <ヨシ葺き屋根>

 かや葺きの水車小屋。
 この絵は葦ペンで描いてみました。


 かつて、ヨシはスダレなどを作るほか、屋根葺き材料として多く使われました。

 現在は屋根をヨシなどでつくると燃えやすいという理由で、建築基準法により禁止されています。

 ヨシ博物館の外観。横にヨシズが見える。

 さて、西川さんからのクイズ。「ヨシ葺き屋根と、かや葺き屋根は同じものか、違うでしょうか?」

 答え。かや(茅)とは特定の植物をさすのではなく、ヨシ、チガヤ、カルカヤ、イネわら、麦わら、など屋根葺き材になる草類の総称。したがって、ヨシ葺きはかや葺きの一種なのです。かや葺きの中でヨシは最高級とされています。

 ただ、昔は材料の運搬が大変だったため、どれが良いということよりは、近辺でとれる草類を使っただろうという。
 イギリスにある、かや葺き民家。


 かや葺き屋根は日本だけの風景と思われがちだが、実はヨーロッパ諸国にも数多くある。

 特に英国ではナショナルトラストの力が強く、イングランドだけで現在約5万戸のかや葺き建築が保存されている、ということです。

 
(つづく)  

 葦ペンでイラストを描いてみると、思ったより描きやすい。紙に当たる感触も心地よいものだった。
なお、イラスト2点は書籍の写真を参考にして描いたものです。

 建築基準法による、かや葺きの規制がなぜこんなに厳しいのか不満に思う。国の重要文化財クラスでないと許可されないのだという。都道府県あるいは市町村の文化財レベルでは禁止とされるため、名のある民家もトタンなど代わりのものにすることを強いられ残念、と西川さんもなげいておられる。
 実際には法律の問題だけではなく、材料確保やそれを葺く人材などの問題も解決しないといけないそうだが、我々もイギリスのような意識の高い国を目指したい。
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