2002年3月14日 百木一朗
ヨシ紙がヨシ 第4回
ヨシ紙作りの続き。もうすぐ出来上がりです。
新聞紙で水分をとります。

鳥飼さんの話。
このヨシ紙作りから話が発展して、いま大津市内の幾つかの小学校では、卒業証書を平山さんの手漉きヨシ紙で作っている。

それをやろうとしたとき、僕はちょっと心配でね。

卒業証書といえば一生ものですから、次に開けてみた時くずれていたというのではいけないでしょう。だから、ヨシの紙でも長く耐えるかどうか確かめたいと思いました。

それで京都の、紙にくわしい先生のところへ持っていったんです。
乾いた布ではさみ、アイロンをかける。

ヨシ紙を見て先生は
「うーん、環境の見える紙ねえ。それは結構なんだけど。これはやはり、あまり長くはもたないでしょうねぇ」


「やっぱり……」(鳥飼さんは、がっかり)
「あのー、どれくらいもつでしょうか?」


「そうですねぇ……。五百年くらいかなぁ」


「えっ」(僕は十年、二十年くらいのことしか考えてなかったに。でも正倉院には二千年前の紙があるとか聞いたことがある)
乾かしてヨシ紙が完成しました。
いいでしょう。
  「そうですか」 神妙にお聞きしながら、鳥飼さんは心の中で(やったあー)と思ったそうです。

(この項おわり)

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