2002年4月4日 百木一朗
ヨシ紙がヨシ 第5回

----- 平山一造さん -----
   
ヨシ紙を漉く平山一造さん
 
紙漉き体験に来た学生に教える平山さん。
ここは大津市のイベント会場で、仮設です。自宅工房はもっと大きな紙が漉けるなっているそうです。

 

 

 

 
 前回にも少しふれた、大津市在住の平山一造さん(82歳)は 手漉きで ヨシ紙を漉いている人です。プロとしては、この方しかヨシ紙を漉いている人はいないのが実状です。


 だから、ヨシの風合いのある紙が欲しい書家や工芸家は、平山さんに注文を寄せてくる。
そのとき、ヨシの繊維がどれくらい入ったのがよいかを言うと、平山さんはそれに合わせたヨシ紙を漉いてくれます。大きめの繊維がちらばっているもの、小さめの繊維がたくさん入ったものなど。これができるのは手作りならでは、です。


 平山さんは元々は表具師でした。そして和紙の紙漉き技術も修得しました。退職後、大津市の鳥飼和夫さんから声をかけられた平山さんはヨシ紙つくりに挑戦することになったのです。


 「なかなか難しかったねぇ」と平山さんは言います。一般の和紙に使われる雁皮(がんぴ)などと違い、ヨシの繊維はかたい。そのため柔らかくする工夫をした。また、和紙にはのり状のとろろあおいというものを少し入れて漉くが、これの量をいろいろためして独自の手法を獲得しました。ヨシと普通の和紙繊維を半分ずつくらいで漉くことが多いが、この比率も注文できます。


 鳥飼さんは、環境に良いヨシを市民に広く知ってもらう活動のひとつとして、ヨシ紙作りのできる人をさがしていました。和紙作りを少しやっていた福祉作業所で試みたりしたが、本職の紙漉職人がいないため、なかなか進みませんでした。そこへ平山さんが加わったおかげで本格的に実現したのです。 一方、鳥飼さんは前回紹介した、小学生らにヨシ紙漉きを体験してもらうイベントなどをすすめ、自分でも紙を漉くようになったということです。

(つづく)
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