2002年4月11日 百木一朗
ヨシ紙がヨシ 第6回

----- 平山一造さんと鳥飼さん -----
   
平山さんのヨシ紙
 

はがきを四枚並べて漉いている。部分的に赤い色の入った繊維にひたして、裾模様をつけました。さらに、金粉銀粉をふっているところ。
このあと、板に張って天日で乾かすと出来上がります。

 

 

 それ以前にはヨシでできた紙というのは、ほとんどなかったようです。
「工芸家とかで芸術としてやってみた人くらいはあったんでしょうね」と鳥飼さんは言います。「それと、西川嘉廣先生が書いたはるように、外国で製紙産業として試みられた(後述)とかいうことですが、自分たちのまわりにはその実物は見あたりませんでした」


 「でもね、紙の歴史を研究している大学の先生がおっしゃるのはこうです」と鳥飼さん。
「和紙の材料として代表的なのは、楮(こうぞ)・雁皮(がんぴ)・三椏(みつまた)の三つです。これにまさるものはない。しかし、昔はいろいろな材料で紙は作られていた。例えば「藁半紙(わらばんし)」というのがありました。あれは藁(わら)で出来ているんでしょうね。そういったものの中にはヨシもあったはずだと。だからきっと昔にもヨシ紙はあった。けれど、歴史の中で結局さっきの三つが一番良いということに淘汰されてきたのだろう、と」

 「質ではそちらにかなわない。コストも高い。けど、僕はヨシ紙を『環境の見える紙』として大事にしたいのです」

 繊維が多いと、文字が書きにくいということもある。しかし、平山さんも、単にヨシが材料になっているというだけでなく、ヨシの繊維が混じったヨシの紙らしいものを作りたいと語っています。

 ヨシ紙漉きの名人と言われる平山さんももうご高齢です。しかし、平山さんを本格的に継ぐ人はいない。これを読んでいる人でヨシ紙職人になろうという方、名のり出てください。

(つづく)
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