2002年4月18日 百木一朗
ヨシ紙がヨシ 第7回

----- 西川嘉廣さん -----
   
びわ湖ヨシ紙の一例
(西川嘉右衛門商店のヨシ紙製品は「びわこ図鑑」の「ヨシを活用した商品」ページに紹介されています)
 
葦ペーパーボール

 西川嘉廣さん(おもしろエコびとの西川さんです)も、ヨシ紙を大変重視しています。

 西川さんの義兄・宮地潔さんが製紙会社の技術者であったため、宮地さんの協力で機械漉きの(量産できる)ヨシ紙が実現しました。これは平山さんの手漉ヨシ紙とはまた違った、世間へのインパクトがあります。それを自らの西川嘉右衛門商店オリジナルの「びわ湖ヨシ紙」として発売しているのです。

 色はうす茶色で、ヨシの細かい繊維が入っているのが見えます。僕の正直な感想としては、余り上等な紙には見えませんが、独特のしっとりとした風合があり、いい感じです。 西川さんは「コストがどうしても高くなってしまい、一般の洋紙に比べて数十倍の値段だから、太刀打ちはできないが、何かよい用途を提案して普及させたいですね」と言います。

 代々ヨシ商であった西川さんの家には、昔にもヨシ紙を作ろうとした記録があるそうです。大正11年ころ南朝鮮でヨシ紙の製紙工場が計画され西川さんの祖父が関わっておられた。またロシアやルーマニアには製紙工場が存在したことがわかっています。そして現在も世界中でヨシを原料にしたパルプが盛んに研究されているということです。

 一方、西川さんがヨシに関する品物を蒐集し、ヨシ博物館に収蔵しているものの中に、ヨシ繊維で出来た食器というのがあります。ひとつは「ヒャッキン」で有名なダイソーの商品で「葦ペーパーボール」。やや深い目の紙皿が8枚入っており、値段はもちろん百円。「地球に優しい天然素材100%使用」「土に埋めると約3ヶ月で土にかえります」とラベルに書かれている。

 「中国のヨシでしょうが…」と西川さん。とにかくこのような紙食器までも、ヨシに関するものならとことん蒐集研究しようとしているのがヨシ博物館です。他にも、アウトドア用品の名門コールマン社の「PAPER DISH SET」がある。これも質感はよく似ており、ヨシ100%の表示。紙皿、ボウル、コップがセットになっている。このようにそれとは気付かないところにも、意外とヨシは使われているのです。

(つづく)
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